思春期のイライラ・無気力はストレスからくる?考えられる原因・対処法は?
思春期の子どもと接すると、気持ちが不安定になっているなと感じることが多々あります。ある子どもは常にイライラしており、別の子どもはやる気も覇気も感じられないのです。
これが自宅になると、もっと顕著に表れるようになります。
この記事を読んでいる親御様も一度は感じたことがあるのではないでしょうか?
そこで今回は、思春期のイライラと無気力について、原因と対処法をお伝えします。
思春期にイライラ・無気力なのはなぜ?
思春期はストレスが多い時期
思春期を迎える頃には、子どもは自分のアイデンティティを求めて常に葛藤しています。他人と自分を比較して、自身をより強く認識するようになります。
劣等感や優越感を感じるなど、心理的にはストレスが多く不安定になる時期です。
イライラ・無気力が悪いわけではない!?
イライラしている、やる気がないからといって、それがすべて悪いわけではありません。
イライラや無気力は心のサイン、SOSであることが多いからです。一般的に、SOSを出さずに頑張ってしまう子どもほど鬱になりやすいといわれています。
つまり、イライラや無気力の感情を出す子どもは、無意識的に自分の心のバランスを保とうとしているのかもしれません。
自分自身との対話が必要
イライラ・無気力がでる子どもは、何かに対して疑問を感じ、時には不安や不満に思い、問題意識をもっている証拠です。
自分は何に対してイライラしているのか、何に不満をもち、何が疑問なのか、落ち着いて振り返る時間、自分の心と対話する時間をもつことで落ち着きます。
親がしてあげられること
子どもがイライラしていると腫れ物に触るように放置したり、無気力な場合は何かをするように急かせたりしたくなります。
これらは子どもにとっては何の意味もなく、対応を間違えると、子どもが深く悩み心を閉ざすことになりかねません。
下記を参考に、親が子どもにしてあげられることを考えてみましょう。
子どもを休ませてあげる
イライラ・無気力の感情は子どものSOSです。毎日の生活に、心身ともに疲れている可能性が高いです。
学校、部活、習い事… 休みなく続く予定に子どもは疲れていないでしょうか? 状況をみて休ませてあげることで救われる子どもは多いです。
過剰な期待をかけない
“親のようになってほしい”あるいは逆に“親のようにはなってほしくない”と、子どもの将来に過剰な期待をかけていないでしょうか?
親は無意識に自分の理想とする姿を子どもに話しています。子どもは親の言動から敏感にその期待を察知しプレッシャーに感じている可能性があります。
親子で自然に考える環境をつくる
イライラしているから、やる気がないからといって、無理やり解決できるものではありません。これらは、心が安定し安心していると自然発生的に解決するものなのです。
心の安定のためには、イライラの原因はどこにあるのか?、やる気がでないのはなぜか?など、リラックスして本音を言える環境が必要になります。
子どもがやりたいことに迷っている場合は、イメージを膨らませられるように、経験談など具体的な話をしたり、実際に場に連れていくのもよいでしょう。
いじめられるのが怖い、失敗するのが恥ずかしいなど、子どもの弱い面もすべて受け止める、親にはそんな広い器が求められます。
効果絶大の深呼吸
手軽な方法で一番のおススメは深呼吸です。
意外だなと思う方も多いかもしれませんが、ぜひ深呼吸してみてください。これは、子どもにも大人にも有効です。
深呼吸は、“今この時”に集中することができます。過去でも未来でもない今に集中することで、精神的に落ち着く効果が感じられると思います。
思春期は、親も子どもも手探り、一緒に成長する時期です。
親御様は、迷いや悩みが多い反面、喜びや楽しみも増えます。ぜひ、お子様を温かく見守ってあげてくださいね。
医師、医学アドバイザー 橋本佳子プロフィール
久留米大学医学部卒業、内分泌代謝内科学講座入局。幼少期に母親がI型糖尿病を発症。父親とともに長年に渡る闘病生活を支え続けた経験から、心と体の繋がりについて深く学び、医学的な治療方法だけでなく、心との向き合い方について幅広い視点からアドバイスを行っている。 【経歴】:医療法人水聖会メディカルスキャニング浜松町にて院長を務めたのち、東京医科大学病院にて糖尿病内科医として勤務。現在は、ピュアライフメディカルクリニックにて治療に携わっている。