思春期の女の子の悩み「生理痛」を軽減する方法
思春期の女の子の中には、生理のたびに下腹部痛に悩む人がいます。
生理が始まったころは痛くなかったのに最近は痛くなってきた、と成長とともに痛みがでてくるケースもあります。痛みは大変やっかいで、時には授業を受けていられない場合もあります。
今回は、この生理痛についてお伝えします。
生理痛って何?
生理がくると、下腹部が痛くなったり、腰が痛くなることがあります。これが“生理痛”です。
初潮を迎えた後の約1~2年は、生理の時に出血はあるものの、まだ排卵が行われていない状態です。そのため生理周期は不規則になります。この時期は、排卵がないため、生理痛がない、または少ないケースが多いようです。
生理周期が安定してくると、排卵が定期的に行われるようになり、生理痛を伴うことがあります。初潮から2~3年後に生理痛が始まるようになるのはこのためです。
生理痛の原因は?どんな痛み?症状は?
生理痛が起こるのは、子宮の中にある血液を外に出そうとする働きがあるからです。
体内では、血液を排出するためにポンプのような動きをしているので、子宮の周りの筋肉がグイグイ動かされ、痛みとして感じてしまうことがあるのです。
また、子宮は下腹部にありますが、収縮に伴って周辺の筋肉も動きます。このため、胃腸が刺激されて気持ち悪くなったり、下痢や便秘になったりすることもあります。
痛いときはどうすれば?生理痛を緩和する食べ物や栄養素は?
生理は定期的にくるものですから、体のためにもできるだけ薬を使わずに痛みをとりたいものです。いくつかの効果的な方法があるのでご紹介します。
体を温める
体が冷えると生理痛がひどくなります。
室内では、一年中エアコンをかけていることも少なくありません。冬だから寒い、夏だから暑いということにとらわれずに、生理の時は体温調整ができるように衣類を1枚多めに用意しましょう。
厚手の靴下を履いたり、カーディガンを準備する、タオルを持っておくなどがおススメです。その他にも、水筒に温かい飲み物を入れておくなど、工夫次第で生理痛が緩和できます。
食生活を見直す
食生活を見直し、大豆が多く温かい食べ物を意識的にとるようにしましょう。アイスやジュースは体の冷えにつながり生理痛を悪化させますので、生理中はやめたほうがよいです。
一方、大豆を含む食品は、ホルモンバランスを整えてくれる作用があります。納豆や豆腐、厚揚げなどから大豆をとるようにしましょう。
玄米や黒糖、ヨーグルトなどの発酵食品、ジャガイモやニンジンなど根菜類は体を温める作用があります。積極的にとることで体が温まり、生理痛が和らぎますよ。
横になる
生理痛のときは体を休めるのが一番です。特に、横になることで体がリラックスして生理痛が和らぐ人が多いです。学校にいるときに生理痛でつらいという場合は、保健室などに出向き、少しでも横になることでよくなる場合がありますよ。
薬を飲む
できるだけ服薬しないで済むならいいのですが、逆に我慢しすぎて体調が悪化するのも問題です。
生活全般に支障が出てしまうなど、必要な場合は生理痛を抑える薬を飲むことも必要です。
こんな症状なら病院へ
生理の周期が安定し、排卵が始まると生理痛を感じる人が増えてくるとお伝えしました。これは、子宮の収縮が原因のもので病気ではありません。
しかし、生理痛がひどく、学校に行くのも辛い、起きていられない、痛みが耐え難いという場合は状況が違います。これは“月経困難症”といい、婦人科系の疾患です。
思春期の月経困難症には、ごくまれに重大な病気が隠れている可能性があります。生理痛の様子がおかしいな、ガマンできないなと思ったら、迷わず婦人科を受診しましょう。
医師、医学アドバイザー 橋本佳子プロフィール
久留米大学医学部卒業、内分泌代謝内科学講座入局。幼少期に母親がI型糖尿病を発症。父親とともに長年に渡る闘病生活を支え続けた経験から、心と体の繋がりについて深く学び、医学的な治療方法だけでなく、心との向き合い方について幅広い視点からアドバイスを行っている。 【経歴】:医療法人水聖会メディカルスキャニング浜松町にて院長を務めたのち、東京医科大学病院にて糖尿病内科医として勤務。現在は、ピュアライフメディカルクリニックにて治療に携わっている。