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「100年間の調査の結果、世界で最も身長が高いのはオランダの男性とラトビアの女性」
2016年7月26日にインペリアル・カレッジ・ロンドンが発表した論文によると、1914年から2014年までの若い成人男性と女性の身長を調査した結果、最も身長が高いのはオランダの男性とラトビアの女性でした。
また、この100年間で最も大きな伸びを示したのは、女性は韓国の16.5㎝、男性はイランの20.2㎝。http://www.ncdrisc.org/height-ranking-mean.html
イギリス人は男性、女性ともにこの100年で約11㎝増加し、中国人は男性11㎝、女性10㎝増加している一方、アメリカ人は男性6㎝、女性5㎝の伸びにとどまりました。
アメリカ人は1914年は男性は世界3位、女性は世界4位の身長を誇っていましたが、2014年にはそれぞれ37位、42位と低下。2014年の身長が高い国はヨーロッパ諸国が独占し、非英語圏の国が目立つ結果となりました。
イギリス人の男性は36位から31位とわずかに改善した一方、女性は57位から38位に改善。
またいくつかは最初の30~40年で増加がみられたものの、その後の成長が止まっている国があり、アメリカは最初に頭打ちになった高所得国でした。イギリス、フィンランド、日本なども同じ傾向があります。 これとは対照的に、スペイン、イタリア、ラテンアメリカ、東アジアの多くの国は、まだ身長が増加しています。
さらに、サハラ砂漠以南のアフリカ、北アフリカや中東などのいくつかの国では、この30~40年で平均身長の現象がみられました。
どのように身長が伸びるかは、もちろん遺伝の影響もありますが、栄養状態や環境要因によって大きく変わります。
良い栄養状況、より良い環境で暮らす子供たちは身長が高くなる傾向があり、妊娠中の母親の健康状況や栄養状況によっても大きく影響を受けます。
この身長の傾向は、生涯を通じての健康に影響を与えるだけでなく、教育や収入にも影響を与えます。
いくつかの研究結果でも、身長が高い人々がより長生きし、さらには良い教育環境や収入を得られるということが示されています。
しかしながら、身長が高いことにより、卵巣がん、前立せんがんを含むがんのリスクが高くなる可能性を訴える論文もあります。
この論文を主導したインペリアル・カレッジ・ロンドンのEzzati教授によると、「過去100年間の平均身長の動きをみると、高くなっている国もあれば反対に低くなっている国もある。
我々は、早急に地球規模で子供たちの栄養環境を改善していく必要がある。」
また、「英語圏の国、特にアメリカは、ヨーロッパやアジアの高所得国に追い越されているが、これは肥満を含む生活状況の悪化によるものであり、人生を通しての健全な栄養状況を推進している必要がある」と強調しています。
共同研究者であるMary De Silvaは、以下のように述べています。
「これは、地球規模で100年にわたる人口データを組み合わせたユニークな分析です。
いくつかの国では大きく身長が増加しているにも関わらず、まだ最低身長の国と最高身長の国ではかなり大きな差異があるということは驚きです。
この差異の理由を理解し、世界的に根強く存在する格差を削減するためにさらなる研究が必要とされています。」
この研究は、世界保健機関(WHO)と協力し約800人の科学者によって行われ、広範囲にわたる膨大なデータをもとに行われています。
2014年 最も身長が高い国・男性(括弧内1914年ランキング) | |
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1位 | オランダ(12) |
2位 | ベルギー(33) |
3位 | エストニア(4) |
4位 | ラトビア(13) |
5位 | デンマーク(9) |
6位 | ボスニア・ヘルツェゴビナ(19) |
7位 | クロアチア(22) |
8位 | セルビア(30) |
9位 | アイスランド(6) |
10位 | チェコ共和国(24) |
2014年 最も身長が高い国・女性(括弧内1914年のランキング) | |
---|---|
1位 | ラトビア(28) |
2位 | オランダ(38) |
3位 | エストニア(4) |
4位 | チェコ共和国(69) |
5位 | セルビア(93) |
6位 | スロバキア(26) |
7位 | デンマーク(11) |
8位 | リトアニア(41) |
9位 | ベラルーシ(42) |
10位 | ウクライナ(43) |
出典:インペリアル・カレッジ・ロンドン(2016年7月26日発表)
http://www3.imperial.ac.uk/newsandeventspggrp/imperialcollege/newssummary/news_25-7-2016-18-41-53