プロフィール
杉山芙沙子(すぎやま・ふさこ) 聖心女子大学文学部心理学科卒業。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。順天堂大学大学院医学研究科/医学専攻(博士課程)在学中。(株)ベリィ・ボタン代表取締役。【チーム愛】のコーチ・チームディレクターとして世界ツアーを共に転戦。自身が校長を務めるパーム・インターナショナル・テニス・アカデミーで、現在も多くのジュニア選手を育成している。 杉山愛さん 杉山愛(すぎやま・あい) 1975年生まれ。元プロテニスプレーヤー。5歳のときにテニスを始め、15歳で日本人初の世界ジュニアランキング1位。17歳でプロに転向。WTA自己最高ランキングはシングルス8位、ダブルス1位。09年、グランドスラムシングルス連続出場62回(ギネス記録)を達成しテニスツアーから引退。
痛みも喜びも子どもと一緒に
- 杉山さん
- 「絶対評価という話をお母さんたちにすると「それはわかっているんだけど……」とみんな口ごもってしまいます。でも、お父さんから「隣のママは料理がうまいんだって。君ももっと料理がうまくなりなよ」って言われたら嫌じゃないですか(笑)。それは子供も同じ。「もうお姉ちゃんになるのに……」とか「隣の○○ちゃんは、もっとできるのに……」と言われたらやっぱり嫌だと思うのです。
また、子どもが何かに失敗したときは、一緒になって痛みを受け入れてあげることも大切にしましたね。たとえばテストの点数が悪かったときなどは、「あれだけ勉強したのに残念だったね」と先ずは子どもの努力を認めてあげた上で、次にどんなことをすればいいのか話してあげる。そうすることで、傷を癒せるだけでなく、次へのチャレンジにも繋がっていくのです。もちろん、子育ては絶対評価なので、ちょっとしたことでもうまくできたら、たくさん褒めてあげることも心がけましたね。」
- 杉山さん
- 「なんでこんな形の子育てができたかというと、実は私自身、なんとなく昔から冷めた子でした(笑)。というのも、親って理不尽な怒り方をすることがたまにあるじゃないですか。そういうことに対して、私は「何でこんなに怒るんだろう」と思いつつも、適当に返事をするようなズル賢さがあったのです。
でも、それとは対照的に、私の妹はいちいち親に抵抗していって……。もちろん、大ゲンカですよ。それを朝から繰り返すわけですから、傍で見ている私としては「ふたりとも相当体力を使っているな」とずっと思っていました。そうやって冷静に周りの家族を見ていたので、自分が人と対するときに、軋轢なくすり抜けるにはどうすればいいのかということを無意識に考えるようになっていったのですね。」
インタビュー目次
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