長友啓典プロフィール
1939年大阪生まれ。 1964年桑沢デザイン研究所卒業後、日本デザインセンターを経て、1969年にイラストレーターの黒田征太郎氏と「K2」を設立。 雑誌、書籍、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、ジャンルを問わず幅広い分野で活躍中。 日本工学院専門学校グラフィックデザイン科顧問、東京造形大学客員教授。 『クリネタ』編集長、月刊『スッカラ』編集長。
まずは見る
長友さんは小学校の課外授業など、教育の現場でもデザインやイラストを教えてらっしゃいますが、子供たちにどのようなことを伝えてらっしゃるのでしょうか?
「小学校の子たちに『ヴィジュアルコミュニケーションがうんたらかんたら……』といっても、誰もわからないと思うんです。だから“伝える”ってほどおおげさなことは言ってないんやけど(笑)、『美術館で気になる絵があったら、立ち止まってとにかくその絵をじ~っと見ろ』とは言っています。
慣れないと5分見ているだけで飽きてきてしまうんですが、20分ほど、しつこいくらい見ていると、絵の中にいろいろな要素があることに気づきます。筆のタッチだったり、色がまざりあっていたり、絵の持つ空気感だったり。
そういうのがわかるようになると、が然、絵を見るのが楽しくなってきますよ。絵だけに限らず、自分の心に何かひっかかるものがあるなら、とにかく凝視し続けること。見る目というものが磨かれて、なんでも面白くなってくるはずです。
でもこういうことって言葉だけで伝えても、心には入っていかないから、やっぱり体で覚えろと言っていますね」
早乙女太一さんのポスター
今、わからなくても、後から気づく
ただ見るだけで絵が理解できるようになる、ということでしょうか?
「頭で理解できるのは、もう少し後になると思います。でも、そういう経験をしていると、どんな場面でも情報をキャッチするようなアンテナが働くようになるんです。
僕自身も、デザイン学校で教えてもらった先生方の一言一句は、洪水のように頭に入ってきました。もちろん理解したのはだいぶ後でしたけど(笑)。それって幼い頃にいろいろな経験をしたから、できたことなんじゃないかな。米粒を残さず食べるということが、農家の人への感謝の気持ちだったり、布切れを丸めて野球をすることが、道具がなくても遊べることだったり。
何気なくやっていたことを後々振り返ってみると、目の前にあること以外にも、たくさんの意味があることを知る。今、わからなくても、後から気づくようになる。そうなったら、面白い大人になれそうですよね」
インタビュー目次
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