巻誠一郎プロフィール
1980年 熊本県下益城郡(現・宇城市)に生まれる 1999年 熊本県立大津高校を卒業後、駒沢大学に進学 2001年 ユニバーシアード北京大会に日本代表として選出 2003年 ジェフユナイテッド市原(現・ジェフユナイテッド市原・千葉)に入団 2005年 日本代表に初召集 2006年 ワールドカップドイツ大会メンバーに選出
練習中心の毎日
ワールドカップやオールスターに選出されるなど、飛躍の06年を過ごした巻誠一郎選手。水泳にアイスホッケーとスポーツ漬けの生活を送ってきた彼は、10才のとき小学校の部活でソフトボールを始めたという。
「なるべくアイスホッケーと違うことをしたほうが、その後の人生の幅が広がると思っていて、私が高校時代に野球をやっていたので薦めました。本当はずっと野球をやってもらいたかったんです」(父・昇治さん)
野球部がなかったため入部したソフトボール部。しかしそのソフトボールは一年足らずで辞めてしまった。ソフト部は部員が少なくて試合がなく、練習自体もサッカー部に比べると少なかったと母・麗子さんが続ける。
「それで5年生のときにサッカーを始めたんです。子供はとにかく毎日体を動かしたいものですから。毎日夕方まで練習するサッカー部に入りたかったんだと思います」
中学生のときは、当時から大きかった身長を生かし得点していた誠一郎選手は、サッカーで有望な選手として選抜メンバーに選ばれ、休日には県内各地に試合、練習に出かけることもあった。アイスホッケーとサッカーの練習が重なる日も、極力全ての練習に参加するようにしていたと麗子さんが語る。
「朝6時に家を出てアイスホッケーの練習を9時半までやって、選抜メンバーの練習に参加し、その後、学校で練習があるときは学校に。本人が積極的に全部やりたいと言っていましたから。確かにそれら全てを車で乗せていくのは大変でしたね」
「一つは体を動かすことが元々好きだった上に、自分自身が夢中になっていたということ。もう一つは、自分が、手を抜くと、廻りに迷惑がかかるので、きちんとやっていたんでしょうね。責任感が強いのかもしれません」
常にひたむきにフィールドを走り回る巻誠一郎の姿は、昔から変わらなかった。
感動を与える選手に
90分間、最後まで走り続ける姿が印象的な巻誠一郎選手。子供の頃から激しいトレーニングを重ねてきたが、それに耐えれるだけの体を作るために食生活にも気を使ったとことはあったのだろうか。
母・麗子さんに伺った。
「食生活で、気をつけた部分はあまりなかったですね。昔は子供だから、肉中心でしたが、高校が体育学部だったので、栄養学の勉強をしたときに、変わったようです。昔は本当に魚が嫌いでしたが、今はほとんど魚しか食べないようですね」
現在は体格もがっちりしているが、昔は背は高かったものの非常に細い少年だったという。しかしそんな体でも最後まで走り続ける誠一郎選手。昔から続くそのスタイルは、中学校時代でも変わらなかったという。父・昇治さんが県の選抜メンバーとして試合をしたときの逸話を教えてくれた。
「当時の熊本県選抜チームの監督をしていた方の話ですが、熊本県は当時弱く、九州大会でも大差で鹿児島県などに負けていました。他の選手は点を取られたら、少しやる気をなくし落ち込んでいくんですが、誠一郎だけは何点取られても、必死にボールを追い続ける。
その当時から最後まで諦めずにボールを取りに行こうとしていた。その姿を見て、こんなひたむきな選手を伸ばしてあげたいと、指導者として勇気付けられた。今の指導者としていれるのは誠一郎のおかげだったとおっしゃっていました」
見ているもの全てに感動を与える誠一郎選手の姿。しかし、必死になればなるほど怪我の危険が付きまとう。親としては、心配が耐えないと思うが母・麗子さんはどのように思っているのだろうか。
「親ですから、当然そういう気持ちはありますが『怪我しないように頑張ってね』とは言いませんでした。怪我をしないように気をつけるというのは、100%でやっていないということだと思っているので。もちろん転んで、しばらく起きないとビックリしますが、怪我を恐れず全力で頑張ってもらいたいと思っています」
昔から、子供たちのプレーする姿を見るのが好きだったご両親は、現在もたびたび試合を見に行くという。
「今は見守ることしか出来ませんが、試合を見て楽しませてもらっています」と麗子さんは語る。
両親が支えてきた誠一郎選手を、今は全国のファンが期待して見守っている。
インタビュー目次
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