古賀稔彦プロフィール
1967年 佐賀県に生まれる 1980年 東京にある講道学舎に入門 1987年 全日本選抜体重別選手権 一位(1992年までその座を守る) 1988年 ソウルオリンピック出場 1992年 バルセロナオリンピック 金メダル獲得 1996年 アトランタオリンピック 銀メダル獲得 2000年 現役引退。全日本柔道女子強化コーチに就任 2002年 「古賀塾」を開く。 現在は古賀塾塾長を勤める傍ら、全日本女子柔道強化委員、東京オリンピック基本構想懇談会委員でも活動。また、IPU環太平洋大学体育学部体育学科教授、柔道部総監督としても活躍中。
柔道以外のスポーツから学ぶこと
バルセロナオリンピックで金メダルを勝ち取ったあとに古賀さんは柔道以外のトレーニングをするようになった。
「『一つ、大きなものを成し遂げたのであれば、違う形で体力をつける方法もあるんじゃないか?』っていうアドバイスをもらったんです」
プロ野球のパ・リーグに所属する千葉ロッテマリーンズの2軍の練習に参加したこともあった。街のスポーツクラブに通ってスカッシュ・テニス・エアロビクスなどにも取り組んだ。
「すくすくトレーニング」で運動プログラムを担当している鶴渕氏は、一つのスポーツに限らず様々なスポーツをやることの大切さを実感している。そこで、鶴渕氏がそのメリットについての古賀さんの考えを問うと、こんな答えが返ってきた。
「普通であれば、エアロビクスなんて出来るわけがないでしょ、って思っちゃうじゃないですか? でも実際にやってみると、意外とこういう方法もあるんだな、っていうのを経験出来るんです。そういうことを経験しておくと、普段の柔道に戻ったときに、普段やらないけどこんなことやってみようかな、とか思う。実際にやってみると、意外とこういう風なものもいいな、とか思ったりして……。通常やらなかった動きを養うことが出来たので、ある意味で幅広く自分の行動が出来る、リズムがとれる、っていうことにつながりましたね」
古賀さんの口から「リズム感」についての話が出たが、「リズム感」を養うことが大切であると運動プログラムを担当している鶴渕氏は考えている。では、古賀さんがエアロビクスで学んだ「リズム感」とはどのようなものなのか。
運動神経を鍛えるには古賀さんはエアロビクスで身に付いた「リズム感」の効果について、このように語る。
「エアロビクスは、左右同じ感覚で同じリズムでやっていくわけじゃないですか? 同じテンポで同じ動きをやっているのに、疲れてくると思考能力がなくなってきて、単純なミスが多くなってくる。そのときに修正しなきゃいけないんですよ、自分で。この瞬間、おれは間違いやすいんだな、って思えば、そこに気をつけてやっていくんです。柔道でも、疲れてきたからこそココでもう一回頑張ろうとか、疲れてきたからこそココを注意してやっていこうとか。自分がそう思わなくても、そこで訓練されているから、自然にそういうのに慣れているんじゃないかな、っていうのはありますね」
古賀さんの場合は、そのようなトレーニングをバルセロナオリンピックで金メダルをとった後に始めたわけだが、幼いころからそのようなトレーニングをすることで得られるメリットについてはどうだろうか。
鶴渕氏が、基本的な運動神経を鍛えるトレーニングを子供のころから行うことが大切だと考えているという話をすると、古賀さんもそれに同意していた。
そして、そのメリットについても「あると思います」と語った。実際に自身が営む「古賀塾」でも練習時間の3分の1から半分くらいはそのようなトレーニングを取り入れているそうだ。子供たちがステッピングをしながら先生の指示を見て、先生が指さした方向に動いたり、それとは反対の方向に動いたりするトレーニングなどがあるという。
また、体力をつけさせたい、内気な性格を直したい、と願う親御さんが古賀さんの道場に子供を通わせているケースも多いという。それに対して古賀さんも、柔道を通して基礎体力をつけたり、人間関係を学んでくれたりしてくれたらいいなと願っているそうだ。
インタビュー目次
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