本島美和プロフィール
東京都出身 1981年生まれ 6歳より醍醐バレエ教室でバレエを始め、のち豊川美恵子バレエ教室を経て1993年に日本ジュニアバレエ、翌94年にAMスチューデンツに選抜される。その後97年橘バレエ学校高等科に入学、三谷恭三、ゆうきみほ、大畠律子に師事する。その間牧阿佐美バレエ団公演「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」に出演。また、2001年より新国立劇場バレエ研修所第一期生として研鑽を積む。2年間の研修を終え、また橘バレエ学校高等科も卒業。同年、研究所卒業生としては第一号の新国立劇場バレエ団契約ソリストとなる。03/04年シーズンより全ての同バレエ団公演に出演。 2001年全国舞踊コンクール・バレエ第一部第三位入賞。
また、現代バレエの巨匠ローラン・プティさん振り付けによる
『コッペリア』にスワニルダ役で2007年5月18日、20日に出演される予定です。 3年前にお会いした時も、キラキラと輝いていらっしゃいましたが、
さらに美しく、魅力的になられた本島さんは、テレビや舞台で大活躍中です。
本島さんに刺激を受けて、スクスクのっぽくんもさらに成長して行きたいと思います!
【音楽】レオ・ドリーブ
【振付指導】ルイジ・ボニーノ
【振付指導補佐】ジャン・フィリップ・アルノ
【舞台美術・衣裳】エツィオ・フリジェーリオ
【照明】ジャン=ミッシェル・デジレ
【指揮】デヴィッド・ガルフォース
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団 2007年5月13・15・17・18・19・20日
※本島美和さん出演予定は18日・20日の2日間です。
本島美和さんを、今後もスクスクのっぽくんは応援してきます!
第5回目の「本当のスクスクのっぽくん」は、バレリーナの本島美和さん。
自分自身もあきらめそうになったことはあった。 だけど、再び稽古を始めたとたん、そんなことは頭から吹き飛んでしまう。 夢中でやってきた。 心からバレエが好きだから。 その端正な顔立ちから発せられる言葉は、全てが等身大だった。 まったく気負う感じもない自然体。 こんなに瞳が輝いている人を、久しぶりに見た。 “自分らしく生きる”とは、この人のようなことを言うのだろう。
スクスクのっぽくんには、女の子からのメールも数多くあります。バレーボール、バスケットボール、バレエ、ダンスなど、様々なスポーツに励んでいる方から、「上手になりたい」、「身長を伸ばしたい」などといったメールが非常に多いのですが、何か彼女たちに少しでも感じてもらえるきっかけをつくれないものかと考えていたところ、運よく、新国立劇場バレエ団でソリストをつとめる本島さんから、お話を伺えることになりました。 新国立劇場の格調高い応接室は、まだ電気が消えたまま。 それが、本島さんがコートを脱いで話始めた瞬間、窓のカーテンが一斉に開き、まるで強い太陽の陽射しが降り注いできたかのように、その場の空気が一変しました。 そのコートの中に隠しもっていたエネルギーを、私たちが一気に感じ取ったように。 「容姿端麗で、若くしてバレエ界の第一線で活躍されている方だから、プライドが高かったり、冷たかったりしたらどうしよう。。」 なんて少しでも考えた自分を責めました。 その端麗な容姿から発せられる言葉は、とても謙虚であり、シンプルであり、等身大でした。 そして、そのエネルギーを象徴するかのように、活き活きと輝いた瞳。 話始めた瞬間から、自分自身が持つエネルギーをストレートに感じさせるオーラは、舞台にあがった瞬間に客席を魅了するプリマドンナの真髄なのかもしれません。 新国立劇場バレエ バレリーナの本島美和さん お話を伺っていくと、私たちが感じ取ったエネルギーにたがわず、本島さんの行動も幼いころからエネルギッシュだったようです。
- のっぽくん
- バレエを始めたきっかけは何だったんですか?
- 本島さん
「いとこがたまたまバレエをやっていたんですが、それを見て、どうしても自分もやりたいって思ったんです。6歳のときに、母にお願いしてみたんですが、その頃は、子供は『なんでもやりたい』っていうもんだと思って無視されてたんですね。でも、私はあきらめきれないので、近所にあるバレエ教室を見つけて、そこの電話番号をメモしてきて、お母さんに頼みこんだんです。(笑)」
- のっぽくん
- 行動派だ(笑)。それでなんとか入れたんですね。
- 本島さん
「なんとか入れました。そのときに、ダメだって言われてたら、今の私はないですね。」 「私は3人姉妹の末っ子なんですが、一番上と次女は年子で、次女と私は6歳も離れているんです。だから、なんとなく姉たちの遊びの中には入りきれなくて、昔から一人で音楽のリズムに乗って踊ってました。 音楽が好きだったので、父が買ってきてくれたCDラジカセに、クラシックのカセットがついていて、よくそれを聴きながら踊ってましたね。」
- のっぽくん
- そこから、本島さんのバレエ人生が始まった。
- 本島さん
「そうですね。小学校の頃は、週に一回だけ通っていたので、まだほんの遊び程度だったんですが、小学校5年生のときに、家族で『くるみ割り人形』を見に行く機会があって、すごく影響を受けたんです。『くるみ割り人形』って、子役がたくさんでてくるんですが、私と同じくらいの子供が舞台で活躍する姿を見て、私もこういうことをやってみたいって強く思ったんです。」
- のっぽくん
- そこがターニングポイントになったんですね。
- 本島さん
「そうですね。そこから本格的にやりたいと思って、先生に相談しました。 そうして豊川美恵子先生の教室に入会し、また牧阿佐美先生のAMスチューデントというちょうど土日の集中講義のような形で、牧先生から本格的に習うようになりましたね。」
- のっぽくん
- 小さいころから、将来はプロになって活躍しようと思ってたんですか?
- 本島さん
「小さいころは、『プリマドンナになるぞ!』って漠然と思ってたんですが、中学校くらいになると、『私は将来は大学行くのかな?バレエを続けるのかな?』なんてだんだん悩みはじめまして。まだ私が高校受験もしていない時に、大学のこととか考えてたんですけどね。(笑)ちょうどそのときに、牧先生が相談に乗ってくれて、いろいろな選択肢を具体的に示してくれたんです。バレエを真剣に学ぶ道もあるし、大学に行く道もあるし。先生がそんなに親身になって相談に乗ってくれることがとても嬉しくて、少し肩の荷がおりたような感じがしましたね。結局、橘バレエ学校高等科に入学することになったんです。」
- のっぽくん
- そこからプリマドンナへの道がまた開けたわけですね。 本島さんにとって、どなたか、この人のようになりたいというバレリーナはいらっしゃるんですか?
- 本島さん
「とくに、こんなふうになりたいっていうのはないですけど、国立バレエ団にいると、海外からきたバレリーナとたくさん接することができるんです。中でも、アレッサンドラ・フェリさんなんかは、40歳くらいで2児の母でもあるんですが、いざ舞台に立つと、彼女はもう14歳のジュリエットなんですよ。」
- のっぽくん
- 人生観などもにじみ出てくるんでしょうね?
- 本島さん
「そうですね。バレエって言葉がないじゃないですか。表現する手段として、テクニックを磨くということは非常に重要ですが、内面を磨くことも重要だと思うんです。」
- のっぽくん
- 確かに、何をしていても自分が何を伝えたいのかをしっかりと持つことって大切ですよね。逆にいうと、それがなければ何もできない。 本島さんは、バレリーナ以外であれば、何かやってみたい職業はありますか?
- 本島さん
「バレリーナ以外ですか?んー。(しばし熟考) やっぱり、演じることが好きなので女優さんとかですかね? あとは、本が好きなので、図書館を開いたりしたいですね。(笑) カフェとか本屋とか。 昔は、父から、週に3冊は読みなさいって言われてたんです。 そこまでは読めないので、週に1冊くらいですけど。」
- のっぽくん
- どんな本を読むんですか?
- 本島さん
「西洋文学が多いですね。たとえば『椿姫』とか。バレエの原作になっているからっていうのもあるんですけどね。 あとは、遠藤周作さんをずっと読んでるときもあれば、フランソワーズ・サガンさんを読んだり、村上春樹さんをたくさん読んだり、いろいろです。
- のっぽくん
- 本を読むことも、きっと自分自身が表現したいことを培う手段になっているんですね。映画なども見るんですか?
- 本島さん
「宮崎駿監督の映画が大好きですね。『ハウルの動く城』も見ました。 私は幼稚園のときに、『風の谷のナウシカ』が大好きで、おそらく合計すると100回単位で見てるんですよ。(笑)セリフも全部覚えてるんです。(笑) 宮崎駿監督の映画は、いろんな伝えたいことが詰まっていて、どの年齢層にもメッセージ性がありますよね。でも、幼稚園の私が、そのメッセージをわかって見ていたかは謎ですけど。(笑)」
- のっぽくん
- では、本を読んだり映画を見たりといった休日を過ごされるですか?
- 本島さん
「そうですね。公演があるときは、あまり休みがないんですが、公演のあいまの休日などは、ひたすら寝てるときもありますし、掃除したり、散歩したり、パソコンの前に座ったり。ちょうど、今も休みの期間なんですが、長女が男の子を出産して実家にいるんです。まだ生後1ヶ月の子なんですが、かわいくてかわいくて、私が育児休暇みたいになってますね。(笑) 『将来は、バレエをやらせよう』とか、『お金がかかるからだめ』とか、勝手に将来のこと考えちゃってます。」
- のっぽくん
- 身長に関して少しお伺いしたいのですが、本島さんは現在164cmですよね。
- 本島さん
「そうです。父が174cm、母が152cmとかなり違うんですよね。 姉も、長女が158cm、次女が161cm、私が164cmです。」
- のっぽくん
- だんだん高くなってきてますね。(笑) 姉妹でそれだけ違うというのは、何か原因があるんでしょうか。 例えば、うちなんかは、長男の私はいろいろとストレスや心労があるので割と低くて、3男はほったらかされて伸び伸び育ってるから身長も高くなってますけど。
- 本島さん
「(笑)どうでしょう。 でも、長女は、スチュワーデスになりたかったので、『頭にシリコン入れようか』なんて本気で悩んでましたよ。 私も、164cmですが、バレエ界の中では小さいほうなんです。ソリストだと、170cmを超える人が多くいますから。」 「私も、もうちょっとはやくスクスクのっぽくんに出会っていれば、もっと身長が伸びたかもしれないですね。」
- のっぽくん
- (笑)今のままでも、十分魅力的だと思います。 やっぱり、バレリーナとしては大きいほうがいいんですか?
- 本島さん
「劇場が大きいので、大きいほうが確かに映えます。 ただ、今まで日本人で活躍されている森下洋子さんとか、吉田都さんなどはとても小柄で、150cmちょっとくらいしかないんです。小柄な人だと、バランスを考えて真ん中を踊るしかないというのもありますが、その身長その身長で、それぞれ役回りがあるんですよね。 私も、もっと身長が伸びないかなと悩んだ時期もありましたが、それよりも自分の身長であれば、どう活かせるか、どのように踊れば映えるかっていうふうに考えるようになりました。身長のことで悩んでいた時期もあったけど、結局何もしなかったですね。」
- のっぽくん
- 素晴らしいですね。短所と長所は紙一重ですので、身長でかなわなければ、身長が低い人しかできないような部分を伸ばしていくという発想はとても大切だと思います。それこそ、自分が何を伝えたいのかによって違ってくるところですよね。 164cmという身長は、一般的には高いほうですが、身長が伸びるうえで大切な睡眠・栄養・運動という3大要素に関しては、いかがでしたか?
- 本島さん
「睡眠は、よくとっているほうだと思います。 でも、寝つきはよくないんです。 遠足の前とか、本番の前の日になると、ソワソワして全然眠れなかったりするんですよね。眠りは浅いほうかもしれません。 時間的には、いつも11時くらいに寝て、5時くらいに起きるような感じです。」 「食事は、野菜とか煮物とか、母がいつも栄養のことを考えて作ってくれるので、それを頂いていました。昔は、わさびが苦手だったんですが、今は大丈夫です。基本的には、好き嫌いがないので、食べたいものを食べるという感じですね。 和食とか魚とかが大好きです。 自分でも、料理はたまにお手伝いするんですが、ひたすら何かを切ったり、ひたすら何かを剥いたりするのが好きなんです。(笑) この前のお正月も、紅白なますを作ったんですが、私はひたすら人参と大根を剥いてました。(笑)」
- のっぽくん
- ひたすら「ナウシカ」を観たり、ひたすら「大根」を剥いたりですね。(笑) 運動は、毎日みっちりされてますよね。
- 本島さん
「日によって違いますけど、一日だいたい5時間くらいは練習してましたね。毎日、音楽と呼吸を意識した運動です。」
- のっぽくん
- 骨端線には、適度な押す力や引く力が加わる運動が大切なんですが、そういう意味では、ストレッチはとても効果的です。私も、バレリーナのように、一度はピタッと床につくくらいのストレッチがしてみたいですね。
- 本島さん
「私も、小学校のときは、とても体がかたかったんですが、大分がんばって曲がるようになったんです。練習のときのストレッチは、体が温まるまで10~20分くらいやりますが、今ではストレッチで体を動かさない日があると気持ちわるいくらいです。」
- のっぽくん
- 今こうしてお話していても、姿勢がすごくいいですよね。 普段も、姿勢には気をつけていらっしゃるんですか?
- 本島さん
「バーレッスンをやっているときは、100%姿勢のことを考えています。 まず、自分の中心があって、そこから上に伸びていくイメージをいつも考えていますね。バランスが重要なんですが、いい姿勢をしていると、ちょうどいい具合に腹筋と背筋がついてきます。 ピラテスってご存知ですか? 研修所で習ったエクササイズ法で、ヨガと似ているんですが、これも呼吸のリズムを意識して、息を吸いながら上に伸びるイメージなんです。縦のイメージを持つことが大切かもしれませんね。」
- のっぽくん
- 子供たちの中には、姿勢が悪い人もたくさんいます。
- 本島さん
「姿勢をよくしなさいと頭ごなしに言うんではなく、女の子であれば、姿勢がいいほうがかっこいいし綺麗に見えるよって、違う角度から言ってあげたほうがいいかもしれないですね。」
- のっぽくん
- 確かにそうですよね。発想の転換というか、違う角度から、もっといい方法があるんじゃないかって考えるその姿勢が大切ですよね。 自分の意識が変われば、自然と姿勢もよくなるいい循環ができるかもしれませんし。 普段は、バレエ以外の運動はしないんですか?
- 本島さん
「歩いたり、プールの中を歩いたりするくらいですね。基本的に、バレエの筋肉は外にまわして伸ばす筋肉なので、他の運動とは違うんです。他の運動をすると、余計な部分に筋肉がついてしまったり、ケガしてしまうのでだめという人もいますし。私もケガしやすいんですよね。つい最近も、ねんざしてしまって。」
- のっぽくん
- そうですか。プロとしては当然なのかもしれませんが、本当に、バレエ一色の生活なんですね。今までバレエを長く続けてきて、つらかったり、辞めたいと思ったことはあるんですか?
- 本島さん
「ありますよ。人間関係がこじれたり、ケガをしてなかなか治らなかったりすると、辞めたいなって思うこともあるんですが、いったん練習を始めると、そんなこと吹き飛んでしまうんです。 踊りはじめると、なんて私は幸せなんだろうって感じるんです。好きなことをできるっていうのが、一番幸せですよね。」 「バレエは、全く違う人の一生を、一つの舞台の中で演じます。いろんなストーリーがあるし、いろんな演じ方もある。もっともっと成長して、宮崎映画のように、いろんな年代の人に見てもらって、感動を与えられればこんなに幸せなことはないですね。」
- のっぽくん
- 最後に、夢を持って何かに頑張っている子供たちに、一言お願いできますか?
- 本島さん
「ひとつ言えるのは、『あきらめないでほしい』ということです。 私も、高校時代に太った時期があって、バレエも伸び悩んだ時期があったんですが、苦しいときだからこそ、あとちょっとだけ頑張れば何かが変わるって思って頑張ったんです。 私からすれば、小さな子供たちこそ、少し見ない間にもどんどん成長していくし、どんどん上手くなっていくし、『君たちすごいんだよ!』っていうことに気づいてほしいと思うんです。 苦しいときは、誰にでもあります。そこをあとちょっとだけ頑張れば、何かが見える。そこを頑張ってほしいと思います。」
- のっぽくん
- 「続けていれば、何かが見える」。 いい言葉ですね。 言葉で言うのは簡単ですが、実際に行うのは難しい。 「好きなことをやれることが幸せだ」って心から思えているかどうかが、あとひと頑張りできるかどうかの分かれ目かもしれないですね。 今後のご活躍を楽しみにしております。 今日はとても貴重な話をありがとうございました。
- 本島さん
「こちらこそありがとうございました」
【編集後記】
話をしていて、心地よい爽快感を与えてくれる方でした。
日本バレエ界の第一線で活躍していることや、手足が長くとても美しい容姿であるということなどを全てとっぱらっても、本島美和という人間の本質がそうさせるのでしょう。
男女に関係なく、人生を心から楽しんでいる人と接したときのそれでした。
謙虚な姿勢からも、発せられる言葉にはどこか自信があり、自分自身が培ってきた言葉でものごとを語れる本島さんに、またひとつ、前に進むための大きなエネルギーをもらった気がします。
インタビュー目次
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