「成長期に伸びる仕組み」を中心に、「成長と栄養」の関係、「成長と睡眠の関係」などなど、
スクスクのっぽくんに寄せられるご質問を紹介します。
「子供への愛情」と「身長」の関係
子供への愛情が不足すると、身長の伸びに影響はありますか? 愛情をかけると身長に良い影響はありますか?
- 監修:医師(内科医) 成田亜希子 先生
子供は愛情が不足すると「身長の伸び」が悪くなる可能性があります。
成長期の子供の身長が伸びるのは、脳下垂体から分泌される成長ホルモンが大きな役割を持ちます。
成長期の子供の骨には先端に「骨端軟骨」と呼ばれる軟骨があり、この部分が成長ホルモンの作用を受けて、増殖することで身長が伸びていくのです。
このように、成長ホルモンは「身長の伸び」に非常に重要な役割を果たしますが、愛情が不足することで子供に心的なストレスがかかる状態が続くと、成長ホルモンの分泌が減少することがあります。
まず、人はストレスを感じると、コルチゾールというステロイドホルモンの分泌が盛んになります。このコルチゾールは成長ホルモンの分泌を抑制する働きがあるため、結果として成長ホルモン不足となりうるのです。
また、成長ホルモンは睡眠中、特に夜10時から2時の間、深い睡眠の状態であるノンレム睡眠が得られた時に多く分泌されます。愛情不足によってストレスを抱え続けている子供は、自律神経の中の交感神経が過敏に働いて、睡眠障害を引き起こしやすいことが知られていますが、この睡眠障害もまた成長ホルモンを減少させる原因となるのです。
さらに、愛情不足によるストレスで、偏食が生じることもあり、成長に必要な十分なカロリーや骨の成長に必要なカルシウムやビタミンDが不足しがちになると「身長の伸び」に影響することも考えられます。
子供は新学期や引っ越しなどの環境の変化にうまく適応することができず、大人にとっては些細なことでも大きなストレスを感じやすいものです。特に家庭内での両親のけんかや両親の無関心などは、本来心が安らぐ家庭でもストレスを抱えることとなり、心が休まる場所がなくなってしまいます。
愛情不足による低身長を医学的には、愛情遮断症候群性低身長症と呼びます。
お子様の健やかな心身の健康のためには、家庭内でたっぷりの愛情を注ぎ、会話と笑顔の絶えない環境を作ってあげてください。そうすることで、「身長の伸び」も促されることにつながるのです。