早熟化している?!こどもの骨成長の変化
こどもの成長を計る代表的な指標の1つに身長が挙げられると思いますが、身長を伸ばすためには「骨の成長」と「成熟」が密接に関わってきます。
そんな中で、アメリカのミズーリ大学の研究により「こどもの骨成熟の年齢が早まっている」という結果が報告されました。
そもそも骨成長、骨成熟とは?
骨成長とは文字通り骨の成長を指しますが、骨は通常そのままの形で大きくなるのではなく、骨の端にある軟骨部分が伸びて、それが骨に置き変わることで大きく成長していきます。つまり軟骨部分が残っていれば、骨には成長する余力があるということになります。
また、骨はX線撮影をすると白く写りますが、軟骨部分は写真には写らずに黒い線状に見えるため、この状態を一般的に「骨端線(こったんせん)が開いている」と表現します。
しかし、骨の成熟がおとなのレベルに達して身長の伸びが止まる、つまりは軟骨部分がなくなるとX線撮影では骨端線が写らなくなるため、「骨端線が閉鎖する」と表現されます。
男女共に骨端線の初確認と閉鎖が早まった
今回ミズーリ大学の研究では1915年~2006年に生まれた1292人を対象に、X線撮影で手と手首に骨端線が初めて確認できた年齢と、閉鎖を確認した年齢を生まれた年代ごとに比較しました。
その結果、1935年生まれに比べて1995年生まれの骨端線の初確認と閉鎖は男女共に早くなっており、具体的には初確認と閉鎖がそれぞれ男性で6.7ヶ月、6.8ヶ月、女性で9.8ヶ月9.7ヶ月早まっていました。
骨格や性の成長も骨成長に影響を与えている
この研究結果に対しミズーリ大学では、近年の子供の骨格や性の成長が早まっていることが骨成長の成熟化に繋がっているのではないかと考察しています。
また、環境ホルモンやホルモン様物質への曝露が骨成長の早熟化をもたらす1つの要因になる可能性があるとも示唆しています。
骨成長の早熟化に伴い、骨格系の成熟化を測る指標も再評価が必要になるかもしれません。
参考URL
「メディカルトリビューン」https://medical-tribune.co.jp/news/2019/0109518467/
「母子健康協会」https://www.glico.co.jp/boshi/index.htm
記事:2019年1月9日
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子