国が初めて小児がん患者の闘病状況を調査
今や日本人の死因の第一位を占める「がん」ですが、がんと闘っている患者の中には小さな子供たちも含まれていることも事実です。
そこで、2019年2月厚生労働省が小児がん患者を対象に治療や生活状況の実態を把握するため、初めて全国調査を実施すると発表しました。
「小児がん」ってどんな病気?
「小児がん」とはこどもがかかるがんの総称であり、具体的には白血病、脳腫瘍、神経芽腫(しんけいがしゅ)、リンパ腫、腎腫瘍などの病気を指します。
大人の死因として出てくる肺がんや胃がんは実はこどもにはみられません。
というのも、大人のがんの場合は喫煙や食生活といった生活習慣により発症するケースが多いですが、こどもの場合は胎児期の細胞が残存して異常増殖してしまって発症するなど原因が異なるからです。
小児がんの現状
こどものがんは発見が難しく、増殖が速いと言われていますが、日本では年間2,000~2,500人(10000人に1人の割合い)のこどもが小児がんと診断されています。
発見が難しい一方で、こどものがんは成人のがんに比べて化学療法や放射線療法に対する効果が極めて高く、最近では医療の進歩により、70~80%が治ると言われています。
しかし、抗がん剤などの治療により、脳の認知機能の低下やホルモン異常に伴う低身長、不妊など後から出る晩期合併症が多いという問題もあります。
実態を知り、より良いがん支援策を
今回の全国調査では2014年と16年に小児がん拠点病院でがんと診断された18歳以下の患者約4000人を対象にして、がんの種類や治療法、費用面の問題など治療状況を調査します。
また、こどもの場合は学齢期に長期の治療をするため、学校に行けず友達ができない、復学が難しいといった問題が出てきます。
そのため、本人の就学状況や治療と教育の両立への配慮の有無、家族の生活状況についても把握をする方針です。
大人とは違う難しさがある小児がんだからこそ、今回の実態調査が今後のがん治療及びがん支援策に与える影響は大きいと言えるでしょう。
参考URL
「朝日新聞デジタル」https://www.asahi.com/articles/ASM242CXPM24UBQU001.html
「厚生労働省 報告資料」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03467.html
「国立がん研究センター小児がん情報サービス」https://ganjoho.jp/child/index.html
記事:2019年2月4日
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子