撫でることは疼痛軽減に関係!?肌に触れることがの鎮静効果について
昔から「手当て」とはよくいったもので、特に幼い頃は肌に触れて「痛い痛いのとんでいけ」と歌ってもらうと何となく安心したという経験を持つ人は多いのではないでしょうか?今回、そんな経験を裏付けるような研究結果がイギリスのオックスフォード大学から報告されました。
撫でる=皮膚に触れることも看護の1つ
現在、皮膚を「撫でる、さする、手を当てる」といった看護方法は「触れるケア」とも呼ばれ、1つの看護手法として注目されています。その効果についても様々な報告がなされており、看護教育への導入も検討されているほど重要視されています。これまでは、成人に対して「皮膚を約1~10cm/秒の速度でなでると皮膚の感覚ニューロンが活性化されて鎮痛効果を得られる」ことが示されていました。そこで、今回オックスフォード大学では乳児に対しても同様の反応が見られるのかどうかを検証しました。
医療処置前に乳児を撫でて疼痛軽減
今回の研究では乳児32例を、踵穿刺による採血の直前10秒間に3cm/秒の速度でなでる介入群と、なでない対照群の2群に分けて、有害刺激に対する脳活動の変化を観察しました。その結果、介入群では対照群に比べて有害刺激に対する脳活動が有意に40%低下していました。
また、撫でる速度に関しては別の試験において早過ぎては疼痛軽減効果は得られておらず、あくまでゆっくりと撫でる点が重要だということが分かりました。実は、親が我が子を撫でる時は無意識に適した速度で撫でていることも判明しており、直感的にゆっくり撫でられることの効果を知っているのではないかと考えられます。
撫でることは臨床的にも有用
今回の研究により、撫でることは副作用リスクを伴うことなく疼痛軽減効果をもたらすため、臨床的にも有用だということが示されました。子供を撫でるということは特別な知識がなくても出来ることですし、予防接種や病院での治療の前など日常的なシーンで活用してみても良いかもしれません。
参考URL
『千里金蘭大学紀要~触れるケアの効果より』
https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20171004143722.pdf?id=ART0010388812
『47News』https://www.47news.jp/277781.html
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2019/0109518452/
記事:2019年1月9日