母親の味噌汁摂取が子どもの睡眠に影響か!?
最近、「腸内環境」という言葉を耳にすることが多くなり、同時に腸内環境を整えてくれる発酵食品への注目度も高まっています。
そんな中、日本の代表的な発酵食である味噌汁の摂取が、子どもの睡眠に影響を与えるという興味深い研究結果が、富山大学より発表されました。
概日リズムの乱れは成長に影響を与える
本来、人間は決まった時間に起きて、眠る一定のリズム=概日リズム(体内時計)を持っています。
概日リズムは日光を浴びる時間帯や食事の影響を受けると考えられており、特に幼少期では、リズムが乱れて睡眠不足を引き起こしてしまうと体の発達や肥満などに影響が出てしまいます。
そのため、子どもの成長のためには概日リズムを整えることが非常に重要です。
良い腸内環境は概日リズムを整える
健やかな成長に大切な概日リズムですが、近年では腸内フローラと呼ばれる腸内細菌叢が概日リズムに影響を与えるという報告もされています。
そして、実は人間の腸内細菌というのは、母親の産道を通る際に母親の腸内細菌をもらい受けるため、母親の腸内環境がそのまま子どもの腸内環境、ひいては概日リズムを整えることに繋がる可能性があると言えます。
母の妊娠中の味噌汁摂取により子どもの睡眠不足リスクを低下
こうした背景を受けて、富山大学では腸内環境を整える発酵食品の代表とも言える味噌汁を、妊娠中に摂取した母親とそうでない母親の子どもについて、1歳時点における睡眠不足リスクを検討しました。
7万2646組の母子を対象に研究を行った結果、味噌汁摂取量の増加に伴って、子どもの睡眠不足リスクは有意に低下したというデータが得られ、母親の腸内環境が子どもの概日リズムに影響を与える可能性があることが明らかになりました。
今後も介入検討が必要
今回の研究では、直接的に母親の腸内細菌や妊娠中に摂取した味噌汁の成分と睡眠不足リスクを検討していないため、“味噌汁摂取によって子どもの睡眠不足を予防する”とまでは言えません。
しかし、今後さらなる検討が進めば、新たな知見として私たちの生活に影響を与えることになるかもしれません。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2019/1028522083/
『健康長寿ネット』https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenko-cho/chonai-saikin.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子