肥満だけでは済まない~増える子どもの脂肪肝~
今や全世界の3人に1人が肥満か過体重と言われており、残念ながら我が国においても子どもの肥満は深刻な問題になっています。
そんな中、肥満小児の増加に伴って、成人病だと思われていた脂肪肝を患う子どもが増えているという事実をご存知でしょうか?
そこで今回は、脂肪肝の定義や問題点、肥満小児への対策についてご紹介します。
幼児は15%、学童は20%に注意
大人の場合は一般的にBMIが25以上になると肥満症として位置づけられますが、子ども達の肥満度は計算式が難しいため、肥満度判定曲線と呼ばれるグラフを用いて身長と体重を照らし合わせることで確認できます。
この判定曲線は、1~6歳までの幼児用と6~12歳の学童用に分かれており、幼児では肥満度が15%以上、学童では20%以上になると肥満小児として判断されます。
肥満小児は脂肪肝の発症リスクが増大
脂肪肝とは、その名の通り肝臓に脂肪がついている状態、厳密には肝細胞の30%以上に脂肪が蓄積されている状態を指します。
特に、アルコールを飲まない人が食生活などによって発症した脂肪肝は、非アルコール性脂肪肝(NAFLD)と呼ばれており、肥満小児の場合はこのNAFLDの発症率が22~44%にも上るのです。
全小児の発症率が2.2%程度ということを踏まえると非常に高いと言えるでしょう。
今まで、NAFLDは病状が進展しないと考えられていましたが、最近ではより重症な肝硬変へ進展する可能性もあることが分かっているため、子どものNAFLDの発症抑制および治療が非常に重要になります。
本人をはじめ、家族を含めた指導が必要
子どもの肥満に関しては、不登校や精神的な事情による運動不足、過食などが原因になっていることが多いと言われています。
そのため、単に「痩せさせる」ことに捕らわれるよりは、「今より体重を増やさない」といった目標を立て、達成できたら本人から「次は何キロ減らしたい」という目標を口にさせることが重要です。
もちろん、食事療法には親御さんの協力が不可欠ですが、栄養士の指導を受けながら「ご飯の量だけ減らす」など継続できるメニューで進めると、子どもだけでなく作る側のストレスも軽減されます。
成人期に肝硬変へ移行させないためにも、気になる人はまず肥満度判定曲線をチェックしてみましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/1352
『日本小児内分泌学会』http://jspe.umin.jp/public/himan.html
『糖尿病ネットワーク』https://dm-net.co.jp/calendar/2017/027020.php
スクスクニュースの過去記事も合わせてご覧ください。
幼児期から注意を!子どもの肥満の影響と対策
https://www.suku-noppo.jp/headline/20190626- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子