その咳、百日咳かも!?乳児へ感染させないために
新型肺炎の感染拡大により、世の中全体が咳や鼻水といった風邪症状に敏感になっていますが、実は近年、百日咳に感染する大人が増えているということをご存知でしょうか?
さらに、百日咳は乳児に感染すると重症化するということが明らかになっています。
そこで今回は、大切な子ども達の命を守るために知っておきたい、百日咳の特徴や対策についてご紹介します。
百日咳菌は感染力が強い
百日咳とは、短い咳が連続して出て、息を吸うタイミングで「ヒューヒュー」という音がする咳発作が特徴的な、急性の呼吸器感染症です。咳が治まるまでに約100日間かかることから百日咳という名前がついています。
原因菌である百日咳菌に感染することで発症し、患者の咳やくしゃみを介して感染する飛沫感染によりうつることが多いですが、百日咳菌の感染力は非常に強いため、菌が付着したものに触れるなどの接触感染でもうつってしまうことがあるので注意が必要です。
ワクチン接種をしても発症する
百日咳菌に対する免疫は母体から獲得することが難しいため、乳児期早期から感染する可能性があります。しかし、免疫力が弱い乳児、特に6か月未満の乳児に感染すると低酸素脳症など症状を引き起こして重症化してしまい、場合によっては死に至るケースも。
こうした背景を受けて、現在は四種混合ワクチンによって百日咳に対するワクチン接種が行われていますが、実は計4回の定期接種を全て終えても、早くて4年、長くて12年程度で効果が失われてしまうのです。
そのため、厚生労働省のデータによれば、2018年の百日咳患者数は約12,000人で、そのうちの65%が5~15歳未満、21%が20歳以上となっており、ワクチンを接種していても、学童期の小児や大人の感染が多いということがわかります。
追加接種と予防が重要
子どもへの感染が気になる場合は、ワクチンの効果をより長くするために、学齢期に追加で3種混合ワクチンを任意接種することが可能です。
また、大人の場合は百日咳に感染しても症状が軽いため、気が付かない内に周りに感染させてしまう場合があります。
そのため、咳症状がある人は乳児と接する際にマスクを着用するなど気を付けましょう。また、妊婦さんは自身がワクチンを接種することで胎児にも抗体が移行し、生後直後の感染を予防することができるため、任意にはなりますが予防接種を受けておくと安心です。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/1463
『感染症予防接種ナビ』https://kansensho.jp/pc/article.html?id=IF00000029&from_intermediate
『Doctors File』https://doctorsfile.jp/medication/258/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子