繰り返す嘔吐に注意~子どもが抱えるストレスとは~
現代社会においてストレスを抱えている人は非常に多いですが、悩んでいるのは大人だけではありません。
最近では、多くの子どもが不安や緊張を抱えており、その結果、嘔吐を繰り返してしまうなどといった影響が出てきています。
そこで今回は、そんな子どもの心因性嘔吐の特徴や対策についてご紹介します。
心因性嘔吐ってどんな病気?
一般的に人間が吐く、吐き気を感じる時には、消化器官や脳などの神経系に異常がありますが、心因性嘔吐は嘔吐の原因となる明らかな異常がなく、心理社会的なストレスが原因となって発症してしまう病気です。
ストレスと言うと仕事や人間関係の悩みなどをイメージしますが、実は「一度バスに乗った時に車酔いで吐いた経験がある」といった事も心因性嘔吐の原因となり得ます。
「バスに乗ると吐く」というイメージが本人に刷り込まれてしまい、その後はバスを見ただけ不安が募って嘔吐してしまうのです。
他にも、クラスメイトの前で音楽や体育などの実技発表をする日には、緊張のあまり吐いてしまうといったケースも見られます。
どちらにしても、大人から見れば些細な出来事だったり、嘔吐には直接結びつかないと感じることも、子どもにとっては大きな不安や緊張の原因となっているのです。
嘔吐の原因は未発達な中枢神経
嘔吐を引き起こす原因はストレスですが、嘔吐そのものは脳にある嘔吐中枢やその周辺の神経が刺激されることによって起こります。
子どもの場合は、特に中枢神経系が未熟なので、ささいな気持ちの動きによって刺激を受け、嘔吐を含む身体症状が発生しやすいと考えられます。
年齢を重ねれば子どももストレスの対処方法を身に付けるため、一般的に予後は良好ですが、幼児期から学童期の子どもは特に発症しやすい病気です。
丁寧に話を聞くことが重要
心因性嘔吐の症状には、吐き気だけで嘔吐を伴わない、嘔吐が連続する、登校前など決まったタイミングで嘔吐するなど様々なタイプがあります。
このように嘔吐や嘔気が続くと、まずはその症状を治すことに意識が集中しがちですが、心因性嘔吐の場合は病気の原因となるストレスが何なのかを明らかにすることが大切です。
だからこそ、周囲の大人が症状の出方を観察して、本人が抱える不安や緊張に耳を傾ける。原因が分かれば、できるだけ解消できるように協力して環境を整えることが重要だと言えるでしょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/1530
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子