肥満でなくても高コレステロール!?~予防健診で早期発見へ~
「高コレステロール血症」というと、成人の生活習慣病、もしくは、子どもが肥満傾向の場合になりやすい病気というイメージが強いかもしれません。
しかし、実は体型などに関係なく、生まれつきコレステロール値が高くなってしまう「家族性高コレステロール血症」という病気があるのをご存知でしょうか?
そこで今回は、家族の健康のために知っておきたい「家族性高コレステロール血症=FH」の定義と、香川県が取り組んでいる対策についてご紹介します。
LDLコレステロールの数値が重要
そもそもコレステロールとは脂質の事を指しており、一般的には悪玉と呼ばれるLDLと善玉のHDL、そして、中性脂肪の3種類の数値を測定して、病気の有無を検査します。
3つの中でも特に注意したいのが、悪玉であるLDL。
LDLコレステロールは、増えると血管の壁に入り込み、こぶの様なものを作って動脈硬化を引き起こす厄介な存在です。
そのため、LDLコレステロールが140mg/dl以上となると高コレステロール血症と診断されます。
子どもは自覚症状がなく見逃しやすい
日本ではおよそ400人~500人に1人の割合で、FHの患者がいると言われています。
しかし、実際には自覚症状が乏しく、大人のように脂質項目に関する健康診断を定期に受けることがないため、子どものFHは見逃しやすいというのが現状です。
また、FHだと言うことに気付かず無治療のまま過ごしてしまうと、冠動脈疾患の発症リスクが約13倍になり、10歳前後から動脈硬化がみられると言われています。
したがって、出来るだけ早期に検査を行って治療を開始できるかどうかが、子どものその後の人生に大きく関わるのです。
予防健診が家族の健康にも繋がる
香川県では2012年度より、県下17市町村において小学4年生を対象に血液検査を行い、脂質の機能や糖代謝の異常などを調べる予防健診に取り組んでいます。
15歳未満の子どもの場合は、LDLコレステロール値が140mg/dl以上で、かつ家族内にFHか早発性冠動脈疾患を抱える人がいる場合にFHと診断されます。
対象となる子どもはもちろんのこと、結果的に親自身の病気の発見に繋がることもあるため、非常に期待が持てる取り組みです。
このように、子どもの生活習慣病の予防健診を都道府県が主体的に行うというのは、世界的にみても珍しいですが、健康的な子どもの未来のためにも、スタンダードな制度として今後広まっていくことが望まれます。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/1698
『MEDLY』https://medley.life/news/557f9719192351f3004a0eab/
『塩野義製薬』http://www.shionogi.co.jp/wellness/diseases/dyslipidemia.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子