コロナで増える産後うつ~他人事と思わないで~
日本の周産期における医療技術や安全性は世界トップレベルですが、一方で、出産に関わる心のケアについては対応が遅れています。
そんな中、コロナ禍の影響を受けて、「産後うつ」に苦しむ女性達が増えているというのをご存知でしょうか?
今回は、人と交わる機会が少なくなった今だからこそ気を付けたい「産後うつ」の特徴と対策について紹介します。
「産後うつ」とは
産後うつと言うが、妊娠期から女性のメンタルには大きな変化が現れる。
子どもを産むことへの期待と共に、守らなくてはならないという不安感、体の不調からくる疲労感などから情緒が不安定になりがち。
更に、出産自体も予測不能なことの連続であり、体へのダメージも大きい。
したがって、産後2週間程度は誰でもメンタルが揺らぎやすいもの。
しかし、数カ月に渡り日常生活に支障をきたすようなメンタルの変動がある場合は、産後うつとされます。
産後うつの症状
うつ症状はなかなか自分では判断しづらいものですが、産後うつの場合は以下のような代表的な症状が見られます。
- ・子どもをかわいいと思えない
- ・急に悲しくなったり、落ち込んだりする
- ・気分の浮き沈みが激しい
- ・睡眠、摂食障害がある
症状が重症化すると、産後うつは自殺の恐れもある怖い病気です。
また、母親が長期的に産後うつ状態になると、子どもの言語発達に影響を与えるという研究報告もあるため、なるべく早めに症状に気付いてケアをすることが大切。
誰でもなる可能性のある病気
従来は約10%の母親が産後うつになると言われていましたが、2020年10月に筑波大学が行った調査では、約24%の母親が産後うつになる可能性があるという衝撃の事実が明らかになりました。
これは、コロナの影響により「想定外」の育児を強いられている母親達に、大きな負担がかかっていることを表しています。
立ち合い出産ができなくなったり、自治体の産後健診や母親学級が中止になって交流の場を失ったりしたことで、孤独に不安と戦いながら知らない内に限界を迎えているケースも多いようです。
まずは、「産後うつ」という病気は誰でもなる可能性がある病気であると理解すること、そして、産後うつになった自分を責めずに認めてあげることが大切と言えます。
少しでもおかしいと感じたら、本人はもちろん周囲の人間も積極的に声を掛けて、地域の助産師や保健師に相談してみましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/news/36981
『NHKニュース』https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201014/k10012662971000.html
『妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル』
http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/03/mentalhealth2907_L.pdf
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子