増える子どもの摂食障害~将来にも影響~
コロナの流行拡大が子ども達に与えた影響は計り知れないですが、その中でも気になるのが子どもの成長に関わるものではないでしょうか。
国立成育医療研究センターのアンケート調査によると、コロナの影響により摂食障害に苦しむ子どもが増えていることが分かりました。
そこで今回は、コロナ禍で広がる摂食障害とその問題点についてご紹介します。
神経性やせ症が急増
摂食障害とは食行動を中心に問題が現れる3つの病気の総称であり、痩せ症や過食症などが含まれます。
今回国立成育医療研究センターは、その中の1つである神経性食欲不振(神経性やせ症)を新たに発症した子どもの数について全国調査を実施。
その結果、新規患者数は2019年度に比べて2020年度は1.6倍、重症で入院が必要になった患者数も1.4倍と急増したことが分かりました。
神経性やせ症を発症すると、体重や体型の感じ方が障害され、痩せているのに自分では異常だと思わなかったり、嘔吐や下剤の大量使用により痩せようとしたりしてしまいます。
その結果、心身の不調や発育不全を引き起こしたり、重症化した場合は生死に関わる状態に陥ることもあるため、成長期の子どもにとっては将来にも影響を与える重大な病気と言えるでしょう。
精神的な不安が原因に
神経性やせ症になる子どもが急増する背景には、新型コロナの流行や休校などによる不安やストレスが考えられます。
一方で、一時的な休校期間が終わっても病気が治らないケースも多いです。
こうした子ども達はコロナ流行下における社会的圧迫や不安が原因で抑うつ状態になってしまっている可能性が高いため、心身への長期的な治療が必要だと言えます。
親が変化に気付いて
神経性やせ症の特徴は、患者である子ども自身が体重減少や摂食障害に陥っている現実を認めないことです。
本来、成長期であれば体重は増え続けるのが当然で、痩せている場合はなんらかの問題があるはずですが、『痩せたい』願望や不安感が強いため、本人が病気の深刻さに気付くことはほとんどありません。
そして、たとえ病気のきっかけがコロナだったとしても、神経性やせ症は長期的な治療が必要な病気なので、コロナが終息してもその後の子どもの成長や日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
したがって、まずは病気にならないよう、親が子どもの食行動や体の変化に気付いてあげることが何よりも大切だと言えるでしょう。
参考URL
『時事メディカル』
https://medical.jiji.com/topics/2353
『国立成育医療研究センター』
https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/survey.html#3tab
『摂食障害情報ポータルサイト』
https://www.edportal.jp/sp/about_01.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子