子どもの歯ぎしり〜注意点と受診の目安〜
歯軋りというと大人の悩みというイメージがありますが、意外にも寝ている時に歯ぎしりしている子どもは多く、そのまま放置しても大丈夫なのか心配という親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、歯ぎしりと睡眠について大阪大学が行った研究の結果を踏まえながら、子どもの歯ぎしりの注意点などについてご紹介します。
20%の子どもは睡眠中に歯ぎしり
歯ぎしりは口腔内悪習慣(ブラキシズム)の1つで、上下の歯をぎりぎりと擦り合わせる習慣のことです。主に睡眠中に見られることから睡眠時ブラキシズムとも呼ばれ、睡眠中の異常現象とも考えられています。
歯ぎしりというと大人のイメージがありますが、睡眠中に歯ぎしりをする子どもは約20%と意外に多いです。その数は年齢が上がるとともに減っていくため、一時的な問題ではあるものの、発生のメカニズムや睡眠との関係については明らかにされていませんでした。
しかし、歯ぎしりによって睡眠が障害されているとしたら、成長期である子どもにとっては大きな問題です。
そこで、大阪大学では「子どもの歯ぎしりと睡眠の質」について初めての調査を行いました。
歯ぎしり自体は睡眠の質に影響なし
今回、6歳〜15歳の44人の子どもを対象に睡眠調査を実施したところ、27.3%子どもが睡眠中に歯ぎしりをしていましたが、歯ぎしりをする子としない子の睡眠の質に違いは見られませんでした。
そもそも、睡眠には脳が活発に働いている状態の浅い睡眠であるレム睡眠と、脳も体も休息状態である深い睡眠のノンレム睡眠があり、歯ぎしりはレム睡眠に移行する前のノンレム睡眠時に起こりやすいと言われています。
歯ぎしりがあると、このレム睡眠とノンレム睡眠の周期バランスが崩れそうなイメージがありますが、実際には影響はなく、睡眠の深さにも差はありませんでした。
したがって、子どもの歯ぎしりが睡眠に与える影響についてはそこまで不安になる必要はないと言えるでしょう。
日常生活や痛みがある場合は受診を
歯ぎしり自体は悪いことばかりではなく、睡眠中の喉を開いて呼吸をしやすくしたり、咀嚼機能の発達にも関係したりするなど良い影響もあると考えられています。
一方で、歯ぎしりだけでなく、いびきもあって眠りが浅く、日中にイライラしてしまう。歯がすり減って痛みがある、といった症状がある場合は睡眠専門医や歯科医の受診が必要です。中には、てんかんなどの病気が隠れている場合もあるため、日常生活に影響が出る場合は、一時的な症状と放置せずに専門医を受診しましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/2327
『ストローマンパートナーズ』https://straumannpartners.jp/medical/trivia/grinding/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子