本当は怖い#寄り目チャレンジ〜急性内斜視のリスクについて〜
最近SNSで若者達に流行っている「寄り目チャレンジ」というものをご存知でしょうか?
寄り目をする様子を撮影するという単純な内容なのですが、子ども達は遊んでいるつもりでも、やり過ぎると目の機能に異常をきたす危険性があります。
そこで今回は、寄り目の仕組みとその影響について解説します。
目の機能はとても繊細
普段何気なく物を見る時に視線を動かしていますが、2つの眼球を同じ方向に合わせて動かし、視点を合わせるというのは実は非常に高度な技術です。
それを可能にしているのが、目に付いている6つの筋肉(外・内直筋、上・下直筋、上・下斜筋)と3つの神経(動眼・滑車・外転神経)。
筋肉はそれぞれ2つがペアになって働くことで、バランスを取りながら眼球を動かしています。
近くを見る時には、内直筋が縮んで眼球を内側に寄せて焦点を合わせるのですが、これを自分の指などで強制的に内側に眼球を寄せるのが寄り目遊びです。
内斜視になる危険性も
寄り目自体は問題ありませんが、寄り目遊びを繰り返す、もしくは長時間行うとどうしても内直筋ばかりが酷使されることになります。
その結果、眼球が内側に寄った元に戻らなくなり、急性内斜視と呼ばれる状態を引き起こします。
急性内斜視はスマホやゲームの長時間の使用でも起こり得るため、最近患者数が増えている病気です。症状としては両眼の視線が一致しなくなり、物が二重に見えるようになります。
遠くを見る時にも縮んだ内直筋が戻らず、左右どちらかの眼球が内側に向いたままなので、人から指摘されることで発覚することもあるようです。
治療法としては、スマホなど寄り目状態になる原因を取り除いて目を休ませる。
重症の場合は、専用のメガネで矯正したり、手術で内直筋の位置を変えたりします。
SNSやデジタル機器との付き合い方を再確認
子どもにとって寄り目自体は面白い遊びかもしれませんが、目の機能が発達段階の子どもには危険も伴います。
気が付いた時には保護者が必ず注意するようにしましょう。
また、親の目が届かないSNSの中では、残念ながら子どもの健康を損なう内容が流行していることもあります。
年齢や自己管理能力にも寄りますが、子ども達を守るためにも、今一度デジタル機器との付き合い方や注意してほしいことについて、家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
参考URL
『withnews』
https://withnews.jp/article/f0211020002qq000000000000000W0bx10701qq000023792A
『日本弱視斜視学会』
https://www.jasa-web.jp/general/medical-list/strabismus/strabismus3#strabismus3_2
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子