運動が原因でアレルギー!?~運動誘発アナフィラキシーとは~
近年、食物アレルギーを持つ子どもの数は増加しており、決して珍しい病気ではないという認識が広まりつつあります。
本来は食べ物が原因となりアレルギー症状を引き起こす食物アレルギーですが、最近では食後の運動が引き金となってアナフィラキシーを発症する運動誘発型の食物アレルギーがあるということが分かってきました。
そこで今回は、思春期に起こりやすいという食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)についてご紹介します。
食物アレルギーでなくても前触れなく発症する
アレルギーとは、体内に侵入した異物を排除しようとする免疫反応の一種です。
本来であれば、食べ物は栄養源として消化吸収されます。しかし、消化機能が未熟な乳幼児や免疫機能に問題がある場合は、ある特定の食物を間違って異物であると判断し、排除しようとしてしまいます。
その結果、蕁麻疹や嘔吐、鼻水や呼吸苦などの症状が引き起こされる、というのが食物アレルギーのメカニズムです。
一般的な食物アレルギーの場合、鶏卵や小麦などの食品の中に含まれるタンパク質が原因となることが多く、ほとんどは食べてすぐに発症します。
しかし、FDEIAの場合は食べるだけでは発症しません。
原因となる食物を含む食事を摂取した後、サッカーやランニングなどの激しい運動をすることでアレルギー症状が出現します。
口の周りの腫れや蕁麻疹といった典型的なアレルギー症状に始まり、嘔吐や下痢、さらには呼吸困難などの重篤な症状を引き起こす可能性もあります。
食べ物だけでは発症しないため、FDEIAを発症する人の多くは食べ物アレルギーと診断されていません。
つまり、「自分はアレルギーではない」と安心して生活していたら、ある時突然発症する可能性があるということです。
発症させないことが大切
FDEIAは食物アレルギーと診断されていない人が発症しやすいですが、中でも部活動など体を動かすことが多い10歳~20歳代の男性に多い傾向があります。
その理由としては、食後に体を激しく動かすことで全身の血流が増加し、それに伴って小腸から吸収される栄養分も増加。
アレルギーの原因となるタンパク質が一気に取り込まれることで、許容量をオーバーして発症するのではないかと考えられています。
原因となる食物は小麦や甲殻類が多いですが、こうしたアレルゲンと運動以外にも疲れやストレスといった生活要因、そして、別のアレルギー疾患を持っているということも発症リスクになることが分かってきました。
そうは言っても前触れなく発症するというのがFDEIAの怖いところです。
既にアレルギー疾患を持っているなど発症リスクが高い場合は、体調をよく観察しながら日常的に注意をしておきましょう。
もし発症してFDEIAと診断された場合は、運動前に原因となる食物を摂取しない、食後2時間以内は激しい運動をしないといった予防策を徹底します。
そして、学校や周囲の人にも病気について説明し、万が一発症しても対応できるようしっかりと話し合っておくことが大切です。
参考URL
『ヨミドクター』https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220228-OYTET50038/
『株式会社 明治』https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/food-allergy/type/04/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子