増加傾向のプール熱に注意~基本的な感染対策を~
新型コロナの感染対策として手洗いやマスク、アルコール消毒が徹底されるようになったことで、この2、3年は他の感染症の患者数がかなり減少しています。
しかし、今年は夏を前にプール熱の患者数が増加しているということが、国立感染症研究所の調査により明らかになりました。
そこで今回は、プール熱の特徴と、感染しないために注意したいポイントについてご紹介します。
プールだけが原因ではない
世間ではプール熱という名前で知られていますが、本来は咽頭結膜熱と言い、手足口病・ヘルパンギーナと並ぶ子どもの3大夏風邪の1つです。
6月~8月の夏場に流行を迎えるので夏風邪とは言われるものの、基本的に年間を通して発生しています。
原因はアデノウイルスで、主な症状としてはのどの痛みや目の充血、39度前後の高熱が数日続きます。
他の風邪やコロナウイルスと違い、目ヤニや涙が多くなったり、まぶしがるようになったりと、風邪症状に加えて結膜炎のような症状が強くでるというのが、咽頭結膜炎の大きな特徴です。
プール熱と呼ばれているため、プールの水を介して感染するようなイメージが強いですが、原因となるアデノウイルスは飛沫感染や接触感染によっても感染します。
感染者と密な距離で話したり、ウイルスが付着した部分を触ったりしても感染するので、プールの時期である夏場以外にも注意が必要です。
手洗いの徹底を
アデノウイルスに対する抗ウイルス薬は開発されていないので、咽頭結膜炎を発症した場合は、解熱剤や鎮痛剤で症状を緩和するしかありません。
基本的には自然に治癒していき、重症化するリスクは少ない病気ですが、のどの痛みが強く現れるため、乳幼児など小さい子どもは水分補給が困難になってしまうケースもあります。
脱水症状を起こさないよう、喉ごしの良い冷たい飲み物やゼリーなどを少しずつ飲ませてあげるようにしましょう。
また、感染しないためにはコロナウイルスと同じく、マスクの着用や手洗いが有効ですが、アデノウイルスにはアルコール消毒が効きません。
したがって、石鹸による手洗いを徹底すること、もしくは、漂白剤などに含まれる次亜塩素酸が効果的です。
今年はコロナ流行後初めてのプール開きという園や学校も多いはず。
子ども達が安心してプールを楽しめるよう、夏場は特にアデノウイルスに対する感染対策にも注意しておきましょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』
https://medical-tribune.co.jp/rensai/2022/0607545947/
『メディカルノール』
https://medicalnote.jp/diseases/%E5%92%BD%E9%A0%AD%E7%B5%90%E8%86%9C%E7%86%B1
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子