BCGワクチンはいつまで有効?~効果と課題~
スタンプ式の注射として知られているBCGワクチン。
赤ちゃんの頃に接種が義務付けられているワクチンの1つですが、その効果は幼児期に限定的であることがアメリカで行われた研究で明らかになりました。
そこで今回は、BCGワクチンの役割と効果、そして、接種後の注意点についてご紹介します。
結核は過去の病気ではない
BCGは結核を予防するため、1歳未満までに接種が義務付けられているワクチンです。
9本の細い針がついた注射器をスタンプのように押し当てる方式の予防接種で、以前ははんこ注射とも呼ばれていました。
BCGワクチンが予防する結核は結核菌によって起こる病気で、咳やたん、発熱といった風邪に似た症状が現れます。
しかし、ただの風邪とは違い症状が長期間続く上に、悪化すると血の混じった痰や呼吸困難を呈し、最悪の場合は死に至ることもある怖い病気です。
治療薬やワクチンが開発されていなかった頃は、日本の死因第1位になるなど国民病として恐れられていましたが、現在は適切な治療薬を飲めば治る病気になっています。
そんな日本であっても感染者は毎年1万人以上発生しており、WHOにより結核の「中まん延国」に位置付けられていました。
2021年の統計でようやく欧米諸国と同じ「低まん延国」の仲間入りができそうですが、結核は依然として注意すべき感染症といえます。
ワクチンの効果は5歳未満で有効
今回アメリカで報告された研究では、BCGワクチンの結核発症予防効果を検討するため、関連する論文から6万8000を超える症例を分析しました。
その結果、5歳未満の子ども達はワクチン接種により有意に結核の発症リスクが低下、死亡率に関しては14歳までは有意に低下することが明らかになりました。
このことから、BCGワクチンは幼児期の結核予防に効果的である一方、青年期以降の効果については消失する可能性があると考えられます。
大人も感染に注意を
結核はくしゃみなどの飛沫で感染するため、マスクの着用や手指消毒が感染予防には効果的です。
最近では咳や熱が続くと真っ先にコロナが疑われますが、いつもと違う咳が長く続く場合は結核を発症している可能性もあるため、家庭内感染を防ぐために家の中でもマスクを着用しましょう。
中には、BCGワクチンの効果が薄れて結核に感染した親から子どもに移ってしまうケースもあります。
特に1歳未満の赤ちゃんが感染すると重症化しやすいため、注意が必要です。
子ども達の健康を守るため、適切な時期に予防接種を受けさせるのはもちろんのこと、疑わしい症状が現れた場合は早めに医師に相談して適切な治療を受けるようにしましょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2022/0815546841/
『厚生労働省』https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index.html
『讀賣新聞』https://www.yomiuri.co.jp/medical/20220623-OYT1T50198/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子