葉酸の摂取で川崎病の発症を防ぐ!?~妊娠前からできること~
赤ちゃんのために妊娠前からの摂取が推奨されている葉酸。
体に良いというイメージはありますが、実際どのような効果をもたらすのか知らないという人も多いはずです。
そこで今回は、葉酸を摂取すべき理由と、川崎病発症リスクとの関連について新たな研究報告をもとにご紹介します。
発症原因は不明
川崎病は全身の血管に炎症が起こり、高熱、白目の充血、手足やリンパ節の腫れ、そして、BCGの注射場所が赤く腫れるなどの症状があらわれる病気です。
4歳以下の乳幼児が発症しやすく、細菌やウイルスなどが原因と考えられていますが、発見から半世紀以上経つ今もなお発症原因は明らかになっていません。
川崎病の1番の問題は合併症です。
熱や手足の腫れなどの臨床症状が治まっても、約3%の割合で心臓の冠動脈に動脈瘤を形成することがあります。
動脈瘤ができると、将来狭心症や心筋梗塞などの心疾患を発症する可能性があるため、血液をつまりにくくする薬を飲んだり、心臓エコーなどのフォローアップ検査を定期的に受けたりしなくてはなりません。
したがって、川崎病は子どもの将来にも影響を与える病気だと言えるでしょう。
葉酸の新たな可能性
川崎病は原因不明であるため、現時点では予防法がありません。
しかし、済生会横浜市東部病院の研究により、妊娠中の葉酸摂取が生後1歳までの子どもの川崎病発症リスクを減少させる可能性があることが明らかになりました。
葉酸は胎児の神経管閉鎖障害を予防する効果が期待できるとして、妊娠前からの摂取が推奨されています。神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄のもとになる神経管が一部閉じていないなど不完全な形で形成される状態のこと。本来背骨の中にある脊髄が外に出てしまうことにより、運動や知覚機能に障害をもたらします。
葉酸にはCD4陽性細胞というウイルスなどを排除する細胞を活性化させる働きがあることが分かっており、今回の研究により、こうした葉酸の特徴が神経管閉鎖障害だけでなく川崎病の発症リスク抑制にも期待できることが分かりました。
子どものためにできることを
葉酸と川崎病発症リスクの関連については、今後さらなる検討が必要です。
しかし、葉酸自体は貧血の予防にも役立つなど体に良い効果が期待できる栄養素なので、摂取して悪いことはありません。
生まれてくる子どもが少しでも健康でいられるように、妊娠前や妊娠中からできることをしてみてはいかがでしょうか。
参考URL
『メディカルトリビューン』
https://medical-tribune.co.jp/news/2022/1013547652/
『国立成育医療研究センター』
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/030.html
『新型出生前診断 NIPT』
https://niptjapan.com/column/neural-tube-defect/
『厚生労働省』
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子