白石康次郎プロフィール
1967年 東京生まれ、鎌倉育ち 横浜国立大学教育学部附属鎌倉小・中学校卒業後、船乗りを目指し、神奈川県立三崎高等学校専攻科へ。高校卒業後、単独世界一周レース優勝者の多田雄幸氏に弟子入り。多田氏のもとで、ヨットの建造を学びながら、レースのサポートを続けた。 1993年 世界最年少単独無寄港世界一周を達成 1995年 走行距離500km以上を人力のみで走破するアドベンチャーレース「エコ・チャレンジ」に出場 2003年 「アラウンド・アローン」クラスⅡで4位 2004年10月に行われる「5-OCEANS」に出場予定 その後は、水泳の指導について学ぶためにアメリカへ留学。帰国後は水泳の指導などに励むかたわら、TV等でコメンテーターとしても活躍。日本オリンピック委員会 環境アンバサダー、日本水泳連盟競泳委員会委員
頭で考えるのではなく心を使う
- のっぽくん
- 多くの人の支えを得て、夢を実現されている白石さんですが、プレッシャーはありますか?
- 白石さん
- 「それは考えないことはありません。僕がやろうとしていることは、失敗したら、最悪、死んでしまうわけです。それは想像を絶するものがあります。さらにいえば、前回成功しているから次も成功できる保証は、なにもありません。
だから、プレッシャーを考えると、前に進みません。今、できることは、目の前にある、ひとつひとつを善処すること。考え、悩んでも、なんの解決にもならないわけです。それは受け入れるしかありません。
冒険家として気をつけていることは、モチベーションがないのに、無理やり冒険しないようにすること。冒険を続けていると、「次は何をするのだろう」と周りが放っておかない状況に陥る。そこでモチベーションがないのに、お金や条件は揃ってしまう。そのときに金銭、名誉など欲をかいてはいけないのだと思います。
その点、僕の周りは反対する人が多いのです。「世界一周はやめとけ」と、言う人もいる。成功など信じていないですよ。「まさか世界一周するとは思わなかった」なんていう友達もいます。そういう人たちを、僕は大切にするわけです。」 - のっぽくん
- ヨットで世界一周をした。また、18才のときに夢見たヨットレースにも参加し、見事完走を果たされました。さて、今後の目標は?
- 白石さん
- 「06年に行われるヨットレース「5OCEANS」で、日本人初の「クラス1」での出場を目指すこと。その後も、ヨットレースは2、3回出てみたいですね。あとはエベレストにも登りたいし、“パリ・ダカールレース”にも出てみたい。それから飛行機を作って、ぜひ飛んでみたいですね。
また50才になったら、今度は、お返しする番。今の僕があるのは、師匠、良き仲間、家族のおかげです。僕が、未来の若者たちに対して、師匠や良き仲間にしてもらったことを、返していかなくてはいけません。
だから、この先も、ずっと忙しいんです。もうやることがいっぱいで。果たして、どこまで自分を高めることができるかと。」 - のっぽくん
- お話を聞いていると、とても明確です。だからでしょうか、とても心にしみ込んでくる。
- 白石さん
- 「それは、僕は頭を使わないで、心を使っているからでしょう。頭というのはいわばコンピューター。つまり計算するところです。たとえば、利益に執着する。損得勘定を弾きだす。ポストや地位に執着する。あるいは言い訳する、自分の身だけを守る。これらはすべて頭が司るものです。
でも、僕は何か決めるとき、頭を使うのではなく、最後は心を使うのです。
そこで大事なのは、計算ではなく、正しいか正しくないか。心で決めるから、シンプルになってくるのだと思います。
このシンプルを突き詰めていけば“空”になる。師匠の多田さんは、その域に行っていた。僕も70歳くらいで達成できればいい。とにかくシンプルに、目標に向かって歩くことですね。」 - のっぽくん
- 少年犯罪、学級崩壊、引きこもり……。子供も親も迷っている。そんなときに白石さんの生き方、言葉が大切だと思います。
- 白石さん
- 「親や子供に会う機会があります。そのときに感じるのは誰もが不安を抱えているということ。それは物事を複雑に考えすぎている気がします。
たとえば、コンピューターを使っていて情報を詰め込みすぎると、フリーズしてしまいます。それはCPUが満杯になるから。
それと同じように、人にもいろんな情報が集まる。まして今は、情報過多の時代。その情報を次々と詰め込んでしまったら、やはりフリーズしてしまうのです。宮本武蔵の『五輪書』でも戦いのなかで最も大切なのは“平常心”だと言っています。人も、何かするときは、素直な心に従い、頭を軽くすると、最高のパフォーマンスができるのです。
また心を自分の中心に置いておけば、なんかトラブルが起きても、対処できるのではと考えています。」 - のっぽくん
- 最後に夢を持つことの大切さを教えてください。
- 白石さん
- 「エベレストを登るにしても“パリ・ダカールレース”に出ることも、世界一の山があるから登りたい、砂漠を走りたいだけ。理屈ではないのです。ただ、心の声に素直でありたいと思っているのです。自分の心に素直でいること。それは心が常に透明であることが大事。
それは湧水に似ています。いつもきれいな水が湧き出てくるようにしていれば、泥水が入っても濁らない。その上で、一生懸命になって突き詰めていけば、「こうしたい」「こうなりたい」という思いが生まれる。それが夢だと思います。別にヨットで世界一周などの無謀な夢を持つ必要はありません。温かい家庭を築く、会社員として働くでも、どんな内容でもいいのです。
そんな夢、やりたいこと、好きなことを持っている人には、多くのエネルギーがみなぎっている。それが苦しいとき、辛いときに、不思議なパワーとなるのです。」 - のっぽくん
- 澄んだ瞳を少年のように輝かせて、お話になる白石康次郎さん。その一言一句がとても心に響きます。それはやはり机上ではなくリアル。ご自身が体験されてきたことを語る。さらにはご自身の言葉で語るところだと思いました。
- 白石さん
- 「まだまだ僕は熱く語るでしょう。でも70才くらいになったら“春風のごとし”という生き方をしたいんです」とおっしゃる白石さん。
夢を追い続けている人は、とてつもなく格好いいなと思いました。
インタビュー目次
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