進化する産後ケア〜増える産後うつと少子化への対策〜
2022年度の出生数が過去最低を記録し、深刻な少子化が危ぶまれる一方で、出産後の母親達のうつが増えているという現状があります。
本来、幸せでいっぱいのはずの産後に、なぜ母親がうつになってしまうのでしょうか。
そこで今回は、産後うつの現状と対策として期待できる産後ケアについてご紹介します。
産後うつ
産後うつとは、急激な女性ホルモンの変化や出産によるストレス、疲労などさまざまな要因によって産後数か月以内に引き起こされるうつ病です。
出産後2~5日ごろは約30%の母親が涙もろくなったり気分が不安定になったりとうつ症状を呈することがありますが、ほとんどは一過性で時間が経てば自然と軽快します。
しかし、こうした症状に加えて不眠や過度の不安などが2週間以上続く場合は、産後うつの可能性があるため注意が必要です。
筑波大学が産後1年未満の母親約2100人を対象に実施した調査によると、24%の割合で産後うつの可能性があることが分かっています。コロナ禍以降は患者数が増加傾向にあるため、産後うつを発症すること自体、珍しいことではないという認識を持っておきましょう。
産後ケアの現状
産後うつを防ぐため、国は2015年度から自治体が病院や助産院に産後ケア事業を委託する費用を半分助成する制度を始めました。その結果、産後ケア事業を実施する自治体数は増えていますが、一方で「利用できる施設が足りない」、「必要なケアがない」、「産後ケアの情報が正確に届けられていない」といった理由で十分な産後ケアを受けられていない母親が多いと言えます。
進化する産後ケア
自治体以外に独自の産後ケアサービスを提供している団体もあります。
最近では、母子でホテルに宿泊し、専用の部屋で看護師と保育士が赤ちゃんを見てくれてる間に、母親はシェフが用意した食事を楽しんだり、買い物に出かけたりできる産後ケアも人気です。
一般的な産後ケアにくらべると料金は割高ですが、リフレッシュしながら授乳や沐浴の方法など、育児に対する疑問を専門家に直接相談できます。
産後に1人で育児をしなくてはならない、というプレッシャーからも解放され、うつを防ぐ1つの方法として有効だと言えるでしょう。
十分な産後ケアを得られれば、もう1人出産しようかと思う人も増えるかもしれません。
深刻な少子化に歯止めをかけるためにも、今後さらなる産後ケアの充実が望まれます。
参考URL
『ヨミドクター』
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20230315-OYT1T50176/?catname=haishin_shakai
『厚生労働省』
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520478.pdf
『NHK NEWS』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201014/amp/k10012662971000.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子