家庭内の受動喫煙が子どもの肥満リスクに⁈
煙草は喫煙する本人だけでなく、受動喫煙により周りの家族の健康にも影響を与えることはよく知られています。
そんな中、東京医科歯科大学大学院の研究により、家庭内で受動喫煙がある子どもは太るリスクが高い傾向があることが明らかになりました。
そこで今回は、受動喫煙と子どもの健康の関連についてご紹介します。
受動喫煙で子どもの呼吸機能が低下
受動喫煙とは、喫煙しない人が喫煙者のたばこから出てくる煙や吐き出された煙を吸わされることです。
たばこの煙は、肺や呼吸器を始めとした全身に悪影響を与えます。特に、子どもの場合は、受動喫煙によって咳や痰などの症状を引き起こすだけでなく、気管支喘息を発症したり呼吸機能が低下したりすることが分かっています。
こうした健康への被害を考慮し、2020年4月からは受動喫煙の防止を目的とした健康増進法が制定されました。
しかし、家の中を規制する法はないため、家庭内での受動喫煙を防げるかどうかは家族の協力や努力にかかっていると言えるでしょう。
受動喫煙をなくすことが子どもの将来の健康につながる
今回、東京医科歯科大学大学院では、家庭内での継続的な受動喫煙が子どもの肥満リスクにどんな影響を与えるかを検証した。
実際には、東京都の「子どもの健康・生活実態調査」に登録された約3600人の子ども達について、小学4年時と6年時に受動喫煙の有無により以下の4つのグループに分けてBMIの変化を分析しました。
- ①継続的に受動喫煙なし
- ②継続的に受動喫煙あり
- ③親が子どもの前で吸わなくなったため、途中から中止
- ④親が子どもの前で吸い始めたため、途中から開始
その結果、②のグループは①のグループにくらべて太るリスクが4年、6年の両時点で高く、さらにその関係性は男子にのみ現れることが明らかになりました。
たばこの煙に含まれる有害物質の影響で、脂肪の分解が抑制されて体重増加を招くと考えられていますが、男子の場合は特に影響が出やすいため注意が必要だと言えるでしょう。
一方で、③のグループの肥満リスクは①のグループと変わらないという結果でした。つまり、途中からであっても受動喫煙をなくすことで、太るリスクを低下させることができると言えます。
子どもの頃の肥満は大人になっても続きやすく、結果的に生活習慣病を始めとした病気を引き起こすリスクを高める原因になります。子どもの将来の健康を守るためにも、家庭内での受動喫煙はやめるようにしましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/2907
『時事メディカル』https://tmduglobalhealthpromotion.com/research/2039/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子