子どもの抑うつ症状高止まり〜少しの変化にも注意を〜
新型コロナの流行以降、うつ症状を訴える子どもの数が増えています。
生活様式の変化や休校などが原因と考えられていますが、コロナの影響が落ち着いた今なお、子ども達の抑うつ傾向は高止まりの状態です。
そこで今回は、コロナ禍の子どもの抑うつ症状と早期発見のための注意点についてご紹介します。
抑うつとは?
抑うつとは、「気分が憂鬱」「気持ちが落ち込んで無気力」な状態が続いた結果、活動性が低下して心や身体に以下のような不調が表れることを言います。
- 精神症状
-
・気分の落ち込み、特に朝の時間帯に強い
・意欲の低下
・思考力や集中力の低下
・希望が持てず、自尊心がなくなる
・死にたい気持ちになるなど、自殺を考える
- 身体症状
-
・食欲が低下、もしくは異常に食欲が増す
・寝付けない、夜中に目が覚めるなど睡眠リズムの異常が起こる
・体が重くて疲労感が取れない
一過性の抑うつ状態は、健康な人にも表れる症状です。しかし、程度の強い抑うつが長期的に継続する場合は、うつ病と診断されます。
コロナがきっかけで子どもの抑うつが増加
新型コロナの感染拡大に伴い、仕事や家庭、学校の環境などは大きな変化を余儀なくされました。
特に、子ども達の場合は、自粛生活が続いて部活動や学校行事が制限されたり、友達と直接的なコミュニケーションが取りづらくなったりと、知らず知らずのうちにストレスを蓄積しています。
その結果、コロナ禍以降は抑うつ症状を訴える子どもの数は増加傾向を示しており、未だ改善が見られない状態です。
子どもは変化への対応に時間がかかる
実際に、国立成育医療研究センターでは、2020年〜2022年の3時点に渡って全国の小学5年〜高校1年1万680人を対象に、抑うつ傾向を把握するための調査を実施。
その結果、3時点全てで回答を得られた小学5年生と中学2年生では、中等度以上の抑うつ症状を認める子どもの割合が以下のように推移していることが分かりました。
2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|
小学5年生 | 4% | 10% | 13% |
中学2年生 | 8% | 13% | 12% |
新型コロナの感染を初確認した2020年にくらべて、状況が落ち着いた2022年の方がどちらの学年も抑うつ症状を訴える子どもの数が多い傾向にあり、高止まりの状態と言えます。
一方で、子どもの保護者は改善傾向にあるため、大人よりも子どもの方が環境変化に対する影響が残りやすいことが示唆されました。
ちょっとした変化にも気づいて
子どもは自分の抑うつ状態に気が付きにくいです。したがって、普段一緒にいる保護者が子どものちょっとした変化にも注意してあげることが大切です。
例えば、「腹痛や頭痛を訴えることが多くなった」「いつもよりも怒りっぽい」「朝起きるまでに時間がかかる」など、気になる症状がある場合は、よく観察して子どもの話に耳を傾けるようにしましょう。
そして、家庭内で解決が難しい場合は、心療内科など専門医に相談しましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/news/56712
『健康長寿ネット』https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/yoku-utsu.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子