コロナの影響で子どもの免疫が低下?〜複数の感染症の同時流行に注意を〜
コロナが5類感染症に移行してから、子ども達を中心に複数の感染症が急拡大しています。
そこで今回は、子どもが感染しやすい病気の特徴と感染時の注意点について解説します。
夏風邪もインフルエンザも同時に流行
子どもの夏風邪と言えば「ヘルパンギーナ」「プール熱(咽頭結膜熱)」「手足口病」の3つが代表的です。いずれも気温が上がる6~8月頃にかけて流行し、特に5歳以下の子どもがかかりやすいとされています。
中でもヘルパンギーナは喉の炎症が強く、子どもが飲食を嫌がって泣いたり、脱水症状を引き起こす可能性がある病気です。
また、夏から秋にかけて流行する病気に「RSウイルス」があります。症状は発熱や鼻水など普通の風邪と同じですが、乳幼児が感染すると肺炎になりやすいため注意が必要です。
一方で、冬の代表的な感染症にはインフルエンザがあります。気温が下がり空気が乾燥する12~2月頃にかけて流行し、集団生活をする園や学校では爆発的に感染が広がることが多いです。気温と湿度が上がる春ごろには落ち着くとされています。
新規患者数が高水準で推移
国立感染症研究所によると、全国の約3000か所の小児科では6月4日までの1週間に、1定点医療機関あたりヘルパンギーナの患者が1.87人、RSウイルスの患者が2.12人と高水準で受診していることが分かりました。
コロナが5類に移行したGWから4週連続で患者数が増加しており、コロナが流行した2020~2022年の同時期にくらべても非常に高い水準で感染が広がっている状況です。
また、例年冬に流行するはずのインフルエンザも、6月4日までの1週間に報告された1定点あたりの患者数が1.52人と流行の目安となる1人を上回っています。
感染を過度に恐れず適切な受診を
夏風邪とインフルエンザは流行する季節が違うため、本来であれば両者が混在することはほとんどありません。しかし、新型コロナ対策として子ども達がマスク着用や手指消毒を徹底した結果、一部の感染症の免疫が低下し、コロナが5類に移行した今になって複数の感染症が同時に流行する異常事態が発生しています。
いずれも飛沫や接触により感染が拡大する病気で、発熱や鼻水などの症状も類似しているため、どの病気に感染しているか判断が難しいです。
子どもは複数の病気に繰り返し感染することで免疫を獲得するため、感染自体を過度に恐れる必要はありません。
しかし、どんな風邪でも子どもの場合は重症化するリスクがあります。普段と様子が違う時や容体が急変した場合はすぐに病院を受診して、適切な治療を受けるようにしましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/news/57025
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子