授業中の居眠りは病気のサイン!?~睡眠と発達の関係性~
9月3日は「秋の睡眠の日」です。睡眠の大切さを知って睡眠環境を見直す日として制定されています。一方で、日本の平均睡眠時間は先進国の中でも最下位であり、大人だけでなく子どもの睡眠時間の短さや質も問題視されています。
そこで今回は、授業中に居眠りをしてしまう子どもの原因や隠れた病気のリスクについてご紹介します。
子どもは睡眠不足が成績低下につながりやすい
経済協力開発機構が行った2021年版の睡眠調査によると、日本の平均睡眠時間は7時間22分と33か国の中で最も短く、最下位という結果でした。睡眠時間の短さは大人だけの問題ではなく、子ども達も11歳以降は睡眠時間が短くなり、13歳では7時間54分にとどまっています。これはアメリカで推奨されている睡眠時間よりも1時間以上短いです。
子どもは大人よりも体内時計が脆弱なため、不規則な生活によって睡眠と覚醒の感覚がずれやすくなっています。したがって、睡眠時間が不足することで、日中の眠気や集中力の低下など学業の成績低下につながりやすいです。
居眠りにつながる可能性がある病気
頻繁に授業中に居眠りを指摘される場合は、以下のような病気が隠れている可能性もあります。
①睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は上気道が狭窄することで、睡眠中に呼吸が止まって低酸素状態が発生する病気です。
睡眠の質が低下するため、子どもの場合は成長ホルモンの分泌や食欲の低下など、発達に大きく関わります。
②ナルコプレシー
ナルコプレシーは、食事や会話、歩行中など本来は意識が覚醒している行動の最中に、突然強烈な眠気が発現する病気です。
睡眠習慣を是正しても日中の眠気が改善されない場合は、ナルコプレシーの可能性があります。
③神経発達症
注意欠陥・多動性障害や自閉症スペクトラムなどの神経発達症は睡眠と深く結びついています。
睡眠の問題が、多動性や衝動性などの症状を増強することもあります。
一方で、睡眠不足が原因で起こる衝動的な行動が神経発達症と似ているため、間違った診断を受けることもあり、注意が必要です。
子どもの居眠りは「やる気がないから」と軽く受け止められがちです。しかし、睡眠時間や環境は子どもの成長に深く関係しています。自分からは適切に眠気を訴えられないからこそ、子どもの睡眠習慣には周りの大人が注意して病気などが隠れていないかチェックしましょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2023/0903558127/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子