水痘ワクチンの定期接種化による影響について~大人も感染に注意を~
乳幼児期に受ける定期接種のワクチンの1つに、水痘ワクチンがあります。現在は1歳になったら接種を受けるよう推奨されていますが、水痘ワクチンが定期接種化されたのは比較的最近です。以前は任意接種だったため、水痘ワクチンを接種していないお子さんもいるでしょう。
そこで今回は、水痘ワクチンの役割と必要性、そして、ワクチンを接種していない親世代への感染について解説します。
水痘ワクチンの定期接種により子どもの発症率が大きく低下
水痘とは38度前後の発熱や倦怠感と共に、特徴的な発疹が全身に現れる病気です。発熱や倦怠感は2〜3日程度で落ち着きますが、強いかゆみを伴う発疹は1週間程度続きます。
しかし、それ以外の症状は比較的軽く、発疹も1週間程度で水ぶくれから痂皮と言うポロポロした状態の皮膚に変わって剥がれ落ちるため、重い合併症などのリスクは比較的少ないです。
水痘は一般的に水ぼうそうと呼ばれており、水痘•帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で引き起こされます。
したがって、免疫のない小さな子どもがかかりやすく、従来は子どもの病気として認識されていましたが、2014年に水痘ワクチンが定期接種化されたことにより、それ以降は10歳未満の子どもの水痘発症率は大きく低下しています。
親世代に帯状疱疹の発症リスク
ワクチン接種により小さい子どもの水痘発症率が大きく低下する一方、10歳以上の発症率にはそれほど大きな変化は見られていません。
また、水痘の原因であるVZVは、帯状疱疹の原因ともなり得るウイルスです。そのため、幼い頃に水痘に感染したことがある人は、大人になって免疫力が低下した際に帯状疱疹を発症するリスクがあります。
従来は、自分達が親世代になった際、水痘を発症した子どもに接してナチュラルブースター効果を得ることにより、親世代の帯状疱疹発症リスクは抑えられていました。
しかし、水痘ワクチンの定期接種化以降は子どもの水痘発症率が著しく低下したため、親世代が水痘ウイルスに暴露することが減り、結果として帯状疱疹を発症する人が増えています。
帯状疱疹は体の左右どちらかに帯状の水疱がひろがり、ピリピリした痛みが特徴的な病気です。神経痛を伴うこともあり、皮膚症状が治まっても神経痛は残る場合もあります。
通常は50歳以上の人に多いとされていましたが、水痘ワクチンの定期接種化以降は20代後半~30代といった比較的若い親世代にも感染者が増えているため、気になる皮膚症状や痛みを感じた場合は早めに病院へ相談しましょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2023/1117559990/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子