新たなワクチンの開発で乳幼児のワクチン接種回数が減る!?~5種混合ワクチンとは~
赤ちゃんが生まれると、授乳やオムツ替えなどの日々の育児に加えて、頻回の「ワクチン接種」が始まります。病気から赤ちゃんを守るために必要なこととは言え、何度も病院に連れていって、泣いて痛がる我が子を見るのが辛いという保護者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、乳幼児期のワクチン接種回数を減らすことができる新たなワクチンについてご紹介します。
5つの病気を予防するワクチンが登場
乳幼児期に接種が推奨されているワクチンの中に、4種混合ワクチン(DPT-IPV)とヒブワクチンがあります。どちらも接種費用が原則無料となる定期接種の対象であり、それぞれ4回ずつ、合計8回の接種が必要です。
しかし、今回新たに開発された「5種混合ワクチン」は、4回の接種で4種混合とヒブワクチン両方の効果を得ることができるため、従来よりも接種回数を半分に減らすことができます。
接種時期は生後2か月から7歳半までの間となっており、定期接種の対象となるため、費用も原則自己負担はありません。
4種混合ワクチンの役割
4種混合ワクチンは、ポリオ・百日咳・ジフテリア・破傷風の4つの病気を予防する目的で接種するワクチンです。それぞれの病気には、以下のようなリスクがあります。
- ポリオ
- 小児麻痺と呼ばれ、四肢に麻痺を起こす病気
- 百日咳
- 風邪のような症状から始まり、連続的な咳が続く病気
重症化すると、肺炎や脳症などの合併症を引き起こして命を落とすこともある
- ジフテリア
- 発熱や嘔吐、のどの痛みや犬が吠えるような咳が特徴的な病気
偽膜という膜により、窒息して亡くなる確率が高く、5歳以下の死亡率は最大で20%と言われている
- 破傷風
- 傷口から菌が体内に入り込むことで、神経麻痺や筋肉の激しいけいれんを引きこす死亡率が高い病気
ヒブワクチンの役割
ヒブワクチンは、インフルエンザ菌b型によるヒブ感染症を予防するためのワクチンです。インフルエンザ菌は冬季に流行するインフルエンザウイルスと混同されがちですが、全くの別物であり、引き起こす症状なども異なります。
インフルエンザ菌に感染すると、髄膜に炎症を引き起こす細菌性髄膜炎や、喉頭蓋が腫れて気道に空気が通らなくなる急性口蓋頭炎などの重い病気を引き起こします。
他にも、血液の中に細菌が入り込む菌血症や関節内に細菌が入って膿が溜まる化膿性関節炎なども発症することがあり、小さな子どもにとって怖い病気です。
しかし、4種混合ワクチンとヒブワクチンが定期接種化されて以降は、こうした恐ろしい病気に苦しむ子ども達は格段に減少しました。
2024年度からは5種混合ワクチンを接種すれば、従来の半分の接種回数で子ども達を病気から守ることができます。
対象のお子さんがいるご家庭では、接種券の受け取りや従来ワクチンからの移行方法など、自治体からの情報を積極的にチェックするようにしましょう。
参考URL
『ヨミドクター』
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20240205-OYT1T50186/?catname=news-kaisetsu_news
『厚生労働省』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子