長時間の視聴は乳幼児の発達に良くない?具達的な影響とは
スクリーンタイムと子どもの発達との関係については、さまざまな研究が行われています。
長時間の視聴は、子どもの視力や運動能力、認知機能などにも影響する可能性があるということはご存知の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、1、2歳の乳幼児のメディア視聴時間が発達に与える影響についてご紹介します。
低年齢児への影響を国内で検証する必要がある
スマートフォンやタブレットの普及により、乳幼児期からスクリーンタイムが増加傾向にある日本では、長時間の視聴が子どもの将来的な発達に与える影響が危惧されています。
実際に、カナダで2018年に行われた大規模研究では、2、3、5歳の幼児の視聴時間と発達には因果関係があることが認められています。しかし、より低年齢の子どもを対象にした日本国内の研究は今まで行われていませんでした。
そこで、千葉大学予防医学センターと国立成育医療研究センターエコチル調査研究部では、カナダの研究と同じ手法を用いて日本の1歳児を含む乳幼児を対象に、テレビやDVDの視聴時間と発達の関係を調査しました。
視聴時間が1年後の発達スコアに影響
今回の研究では、環境省が実施した「子どもの健康と環境に関する全国調査」に登録されている、2011~2014年生まれの乳幼児約5万8,000人の1、2、3歳時点でのデータを対象にしています。
その結果、1歳または2歳時点での視聴時間が長い子どもは、それぞれ1年後の発達スコアが低くなる傾向にあることが明らかになりました。
発達スコアは、(1)コミュニケーション(2)粗大運動(3)微細運動(4)問題解決(5)個人-社会の5つの領域に分けて、発達の度合いを数値化したものです。
具体的な結果は以下のようになりました。
- •1歳時点の視聴時間が長いと、2歳時点のコミュニケーション領域の発達スコアが低い
- •2歳時点の視聴時間が長いと、3歳時点の(1)走る歩くなど粗大運動、(2)手先の器用さなどを示す微細運動、(3)他人とのやりとりに関する3つの発達領域スコアが低い
日々の忙しい育児に追われる親御さんにとって、子どもが夢中になってくれるテレビやDVDはありがたい育児ツールの1つでしょう。
しかし、長すぎる視聴は子どもの発達に影響することを頭の片隅に置いて、テレビに頼らず絵本の読み聞かせなどリアルな語り掛けで過ごす時間も意識してみてはいかがでしょうか?
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3271
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子