小児期に多い回避・制限性食物摂取症とは?
発達途中である子どもにとって、食事は非常に大切な要素です。
だからこそ、栄養バランスの良い食事を3食しっかり食べてほしいと思っているのに、子どもの小食や偏食に悩まされている保護者の方も少なくないでしょう。
小食や偏食は成長に伴って改善されることも多いですが、中には回避・制限性食物摂取症という病気を発症している可能性もあります。
そこで今回は、小児期に多い回避・制限性食物摂取症についてご紹介します。
回避・制限性食物摂取症ってどんな病気?
回避・制限性食物摂取症(以下ARFID)とは、その名の通り食事の摂取を回避したり制限したりすることで、低体重・低栄養状態になる病気です。
特定の種類の食べ物を避けることもあり、栄養不足などにより成長不良や集中力の低下などの症状がみられます。
神経性やせ症(拒食症)や過食症などと同じく「食行動症および摂食症群」に分類されますが、これらとは大きく異なる病気です。
というのも、拒食症や過食症は、強いやせ願望や肥満への恐怖が発端となって発症し、女児に多い傾向があります。
しかしながら、ARFIDの場合は、やせ願望や体重増加への恐怖がありません。さらに、男児にも見られるため、性別に関係なく注意が必要です。
ARFIDの症状や特徴はさまざま
ARFIDには主に3つのタイプがあります。
1つ目は、もともと食べることに関心がなく、食事を回避してしまうタイプです。
2つ目は、匂いや食感が苦手で食べられない感覚過敏タイプ。
そして、3つ目が、給食の時間に人前で嘔吐したなど恥ずかしい記憶が足枷となり、食事に対して不安が生じて食べられないタイプです。
精神面が影響していることが多く、自閉症スペクトラム症など神経発達症と併発するケースも多いとされています。
子どもを責めず焦らせず専門家に相談を
ARFIDを小児期に発症すると、次のような影響が現れる可能性があります。
- ・必要な栄養が不足して成長が妨げられる
- ・集中力が低下して学力が低下する
- ・女児の場合は無月経になり成人後に骨粗しょう症を発症する
こうした影響を考えると、保護者の方は子どもに食べて欲しいと焦ってしまうかも知れませんが、子どもにはプレッシャーとなり、状況の改善につながらないことが多いです。
気になる症状がある場合は、家庭内で抱え込まず小児科や内科、精神科や心療内科など専門家に相談しましょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3329
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子