妊娠中は魚を食べたほうが良い?~子どもの神経発達との関係とは~
妊娠中はお腹の赤ちゃんのことを考えて、食事内容に気を遣う方は比較的多いのではないでしょうか?実際、妊娠中に摂取する栄養素と胎児との関係については、さまざまな研究が行われています。
そんな中、群馬大学により、妊娠中の魚の摂取と子どもの神経発達に関する新たな研究結果が報告されました。
そこで今回は、妊娠中の魚の摂取とその影響についてご紹介します。
妊娠中の魚摂取により子どもの発達リスクが低下する可能性
群馬大学大学院医学系研究科の浜崎教授らは、環境省が実施した「子どもの健康と環境に関する全国調査」のデータを用いて、妊娠中の魚の摂取量と子どもの発達状況を調査しました。2020年に生後6カ月と1歳の約8万人のデータを分析した結果、魚を多く食べた母親から生まれた子どもは、「微細運動」や「問題解決」の領域で発達の遅れが少ないことがわかりました。
さらに、3歳時点の発達状況を約9万人のデータを基に調べたところ、魚を多く摂取した母親から生まれた子どもは、他人とのやり取りに関する「個人・社会」の領域でも発達の遅れが少ないことが確認されました。特に1日の平均摂取量が約70グラムと多い群では、発達遅れのリスクが最も低いことが明らかになっています。
オメガ3脂肪酸が子どもにも母親にも影響
今回の研究により、妊娠中に魚を積極的に食べることが、子どもの神経発達に良い影響を与える可能性があることが明らかになりました。特に、魚に含まれるオメガ3脂肪酸は、脳や神経の形成に不可欠であり、胎児の発達に重要な役割を果たしています。さらに、オメガ3脂肪酸の摂取は、子どもの発達リスクを低減するだけでなく、母親のストレスや抑うつ症状を軽減する効果も期待されます。
また、青魚に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は、体内で作ることができないため、母親が食事を通じて摂取することが必要です。水銀の注意しなくてもいいとされているサバやブリ、アジやサンマなどを積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか?
参考URL
『時事メディカル』
https://medical.jiji.com/topics/3518
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子