もはや国民病!?増え続ける子どもの斜視について
タブレット端末やパソコンなどによる動画視聴の時間、いわゆるスクリーンタイムの増加が子どもの目に影響を与えることは広く知られており、デジタル機器との付き合い方に頭を悩ませている保護者の方も少なくないでしょう。
そこで今回は、スクリーンタイムとも関連があるとされる、子どもの斜視についてご紹介します。
斜視が子どもの健康に与える影響とは
斜視とは、両目の位置を調節するためのバランスが崩れ、片方の目が片側もしくは内側に外れてしまう状態です。
本来、人間の目は両目それぞれの位置を合わせて、同じ1つのものを見ています。そして、2つの目に映った映像を脳内で1つに合成することで、立体感のある映像を生み出しているのです。
しかし、斜視になると片方1つだけの目でものを見ることになるため、立体視が難しくなり、物の見え方に変化がでるようになります。たとえば、道のでこぼこに気付かなかったり、運転中に前の車との距離感が分からなくなったりと、日常生活に支障が出る可能性も少なくありません。
さらに、発達途上である乳児が斜視により両眼視機能が障害されると、弱視になることもあります。弱視は、眼鏡などで視力を矯正することができないため、子どもの成長に大きな影響を与えることになるのです。
斜視の子どもは50人に3人
斜視には、「内斜視」「外斜視」「上下回旋斜視」などの種類があります。どれも黒目の位置がずれるため、周りの人が気づくことが多いですが、軽度の場合は見た目で分からず、眼科検査で初めて発見されることもあります。
京都大学大学院の推計によれば、斜視の患者数は2020年10月で約270万人、有病率は約2.2%と推定されました。特に、5~9歳の子どもの有病率は6.0%にのぼり、低年齢での発症が多いことが分かります。
早期発見と治療が重要
斜視の治療には光の進路を屈折させてずれを補正するプリズム眼鏡を装用したり、手術する方法がありますが、こうした治療の目的は目の位置を真っすぐにすることで、両目を使ってものを見る力を得ることにあります。
両眼視の獲得には、タイムリミットがあり、特に立体視を獲得するタイムリミットは5歳ごろまでと言われているため、それまでに両目を使う状態を作っておくことが必要です。
そして、何よりも斜視にならないための対策や斜視を早期発見するための日頃の観察が大切だと言えるでしょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3512
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子