睡眠は時間だけでなく質も大切~睡眠休養感とは~
子どもだけでなく、私たち人間の生活において、睡眠は健康や寿命延伸に深く関わる重要な要素です。これまでは、睡眠の長さが良い睡眠の指標として注目されてきましたが、近年では睡眠の質、特に「睡眠休養感」と呼ばれる、眠りによってどれだけ休養がとれたかという感覚が重視されています。
そこで今回は、睡眠の質がもたらす効果と子どもの成長への影響についてご紹介します。
発達段階によって必要な睡眠時間は変化する
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、成人は1日6時間以上、小学生は9~12時間、中高生は8~10時間の睡眠が推奨されています。子どもは乳幼児期から学童期、思春期、青年期へと成長するにつれて、睡眠リズムや習慣が大きく変化するため、それに応じた工夫が必要です。
たとえば、乳幼児期には昼寝が一般的ですが、小学校に進学する頃には昼寝の頻度が減少し、早寝・早起きが習慣化します。しかし、思春期や青年期には、睡眠の導入に関わるメラトニンというホルモンの分泌開始時間が遅れることから、夜更かしや朝寝坊が増えるようになります。
さらに、スマホの使用や課外活動の増加により、生活習慣が変化して睡眠時間が減少するケースが多いです。
睡眠時間が睡眠の質や休養感に影響
成長期の子どもたちにとって、睡眠は身体の成長や心の安定を促す大切な時間です。睡眠不足が続くと、学業成績の低下や肥満、抑うつ傾向の強化といったリスクが高まることが知られています。したがって、子ども達の健やかな成長を実現するためには、まずは適切な睡眠時間を確保することが肝心です。その上で、眠りによってどれだけ休養できたかという「睡眠休養感」を得ることが、質の高い睡眠の目安となります。
子どもは成長に応じて睡眠時間が変化するため、十分な睡眠休養感を得るためには、睡眠環境の整備が重要です。子どもの睡眠環境は親の生活習慣も大きく影響することから、家族全員で早寝・早起きの習慣や、朝食を欠かさず食べるなど健康的なリズムの維持に努めることが大切だと言えるでしょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/3533
『厚生労働省』https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子