遺伝だけではない!?小児アトピー性皮膚炎を長引かせないためには
子育てをしている親御さんなら一度は耳にしたことがある「アトピー性皮膚炎」は、乳児期に発症しやすく、その主な原因は遺伝であると考えられていました。そんな中、今回デンマークで行われた研究では発症だけでなく、発症後の症状を長引かせてしまう要因について新たな報告がなされました。
アトピー性皮膚炎とはどのような病気?
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が増悪と軽快を繰り返す症状を主病変とする疾患です。乳幼児・小児期に発症しやすく、加齢と共に患者数が減少していくため、成人型アトピー性皮膚炎に移行するのは一部であると考えられています。そのため、10歳前後には多くの患者は症状が寛解(完治していないが症状が落ち着つく状態)すると言われています。一方で2~3割の患者は成人期まで症状を持ち越す、いわゆるキャリーオーバーをしてしまい、その場合は寛解しにくいと言われています。
そういった現状を踏まえて、どのような要因があると成人型アトピー性皮膚炎に移行しやすいのかを検証するためにデンマークで新たな研究が行われました。
社会状況や診断時の重症度も要因に
今回の研究ではデンマークの小児411人を対象として13歳まで追跡を行いました。その結果、411人中186人(45.3%)が13歳より前にアトピー性皮膚炎と診断され、その中の約24%が13歳以降もキャリーオーバーしていました。その要因として、父親の喘息やアトピーといった遺伝的リスクだけでなく、母親の収入や年齢の高さ、さらには診断時の症状の重さなどが挙げられました。両親の素因に関してはどうすることも出来ませんが、診断時の重症度が13歳以降のキャリーオーバーに関与しているのであれば、なるべく早期に治療を始めて症状を重症化させないことが重要になってくると言えます。今後は乳児期の頃からのアトピー性皮膚炎に対する積極的な治療介入も推奨されていくかもしれません。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/rensai/2019/0208518796/
『アトピー性皮膚炎ガイドライン』https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopic_GL2018.pdf
記事:2019年2月8日