抗てんかん薬服用中も母乳は可能に
赤ちゃんには母乳、もしくは人工乳での哺育が必要ですが、母乳育児をする場合はどうしてもお母さん自身の病気や服用中の薬の影響が気になるものです。
そんな中、アメリカのミネソタ大学より、抗てんかん薬を服用する母親による母乳育児の安全性を裏付ける研究結果が報告されました。
母乳育児のメリット
一般的に、母乳育児には以下のようなメリットがあると言われています。
- ・栄養バランスがよく、消化吸収が良いので赤ちゃんに最適
- ・アレルギーや感染のリスクの軽減
- ・母親の乳がんや卵巣がん、骨粗しょう症といった病気発症を軽減
- ・母子の疾患発生率を減少させることで、医療費削減につながる
もちろん、母乳と人工乳のどちらで子どもを育てるのかという問題については、それぞれに事情がありますが、こうしたメリットを踏まえて最近では母乳育児が推奨される傾向にあります。
薬の母乳移行は非常に少ない
一方で、母親側の事情で母乳育児をしたくても出来ないケース、授乳を中止するケースも存在します。
例えば、母親がHIVなどの感染症を患っている場合や、抗がん剤・一部の向精神薬を服用している場合は授乳を中止すべきと定められています。
しかし、こうした薬以外は母乳に移行する量は非常に少なく、赤ちゃんへの影響もほとんどないと言われていますが、実際に母子に対する薬の影響を検証すること自体が難しいため、「授乳中は薬が飲めない」という認識が浸透してしまっているというのも事実です。
抗てんかん薬を服用中も子どもに影響なし
今回の研究では、実際に抗てんかん薬を服用している妊婦351人を対象に、母乳育児をした場合における子どもの薬剤血中濃度を検証しました。
その結果、子どもの薬剤の血中濃度は母親に比べて有意に少なく、抗てんかん薬を服用する母親による母乳育児の安全性を裏付ける結果が得られたと考えられます。
今後もこうした大規模研究によって、薬の服用しながら病気と闘っているお母さんが、少しでも安心して母乳での育児に専念できることができるよう、安全性が確立されていくことが望まれます。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0115523887/
『脳神経外科疾患情報ページ』https://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/501.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子