スギ花粉症の舌下免疫療法、子どもにも有効か!?
以前は花粉症というと大人の病気というイメージでしたが、最近では幼いうちから花粉症を発症してしまい、辛い症状と闘っている子どもも多くなっています。
そんな花粉症の新たな治療方法として注目されている舌下免疫療法が、2018年には小児にも適応拡大されました。
そして、今回、実際に舌下免疫療法が花粉症の子ども達に有効な治療効果をもたらしているという研究結果が、日本鼻科学会の中で報告されました。
花粉症は春だけじゃない!
そもそも、花粉症とは具体的にどのような病気なのでしょうか?
花粉症は、スギなどの花粉が原因となって起こるアレルギー疾患の1つであり、主にくしゃみや鼻みず、鼻づまりといった症状がみられます。
花粉症の原因となる植物には、スギだけでなくヒノキ、イネ、ブタクサなど約50種類の植物があるため、花粉症シーズンというと春のイメージがありますが、実際は冬の終わりごろから秋頃にかけて花粉症を発症するリスクにさらされているということになるのです。
舌下免疫療法ってどんな治療法?
花粉症の薬物治療というと、抗ヒスタミン剤と呼ばれるアレルギー反応を抑える薬を飲むことで症状を緩和させ、点鼻薬で鼻づまりを改善させる治療法が一般的です。
一方で、舌下免疫療法はアレルゲンを直接舌の下に含ませて、少しずつ体に吸収させることでアレルギー反応を弱めていく治療法です。
長期に渡り正しく治療が行われれば、アレルギー症状を治したり、長期間症状がでなくなるといった効果が期待できるため、従来の対症療法的な治療に比べると根本治療ができる点が大きな違いになります。
戸外行動のQOLにも変化
今回行われた研究では、スギ舌下免疫療法を開始した15歳以下の37人の子どもと、薬物療法を行っている20人の子どもの症状スコアやQOLスコアを比較検討しました。
その結果、舌下免疫療法群では目の痒みや涙目の症状が有意に改善し、戸外行動の際のQOLスコアが良いという結果が得られました。
自覚症状に関するアンケートでも、65%では良くなっているという回答が得られているため、今後も子ども達への舌下免疫療法の効果と普及が期待されます。
スクスクニュースの過去記事も合わせてご覧ください。
舌下免疫療法で小児アレルギー治療に変化!?
https://www.suku-noppo.jp/headline/20181101参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0109523825/
『MSD 花粉なう』http://www.kafun-now.com/knowledge/03.xhtml
『アレルゲン免疫療法ナビ』https://www.torii-alg.jp/slit/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子