子宮頸がんワクチンは男子にも?~定期接種化への動き~
”子宮頸がん”という言葉を聞くと、「女性特有の病気」や「ワクチン接種で副作用が起こる」といったイメージが強いかもしれませんが、一方で、子宮頸がんについて正しく理解している人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、実際にお子さんにワクチン接種を受けてもらう上で知っておきたい子宮頸がんについてご紹介します。
将来の妊娠にも影響する
子宮頸がんとは、子宮の入口の子宮頚部と呼ばれる部分に発生するがんです。
比較的婦人科の診察で観察や検査がしやすく、早期に発見すれば比較的治療効果が得られてますが、進行すると様々な部位や臓器に転移するなど治療が難しいため、早期発見が非常に重要な疾患です。
実際に、日本国内でも年間1万人が罹患して約2700人が亡くなっています。
治療としては早期発見さえできれば、子宮頸部円錐切除術と呼ばれる手術を受けることにより子宮を温存してのがん切除が可能です。
しかしながら、その後の妊娠における早産のリスクを高めるなど将来の妊娠にも影響を与えるため、完治した後も人生に影響を与える影響があると言えます。
9価ワクチンは90%以上を予防
子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で起こるため、ワクチン接種により予防することが可能です。
実際に日本では平成25年4月より定期接種化されましたが、慢性疼痛や意識障害などの重篤な副作用が相次いだため、現在は国からの積極的勧奨が差し控えられている状態です。
一方で、ワクチン自体は進化しており、海外で接種可能である9価ワクチンに至っては約90%以上の子宮頸がんを予防できると言われています。
男子もウイルスには感染する
子宮頸がん自体は女性の病気ですが、HPVには男子も感染する可能性があり、性交によって女子にも感染する危険性があります。
そのため、日本産科婦人科学会は厚生労働省に対し、ワクチン接種の積極的勧奨の再開と9価ワクチンの国内承認と男子も含めた定期接種化を予防しています。
ワクチン接種による副作用を感じられた人がいたことも事実ですが、ワクチンによって救われる命があることも事実です。
大切なお子さんの将来を守るためにも、正しい理解をもってワクチン接種を受けることが望まれます。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0123524011/
『HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き』
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20150819_hpv.pdf
『国立がん研究センター』https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/index.html#a10
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子