てんかん治療、スマホのアプリで手助けを
神経疾患の中で最も有病率が高く、小児期の発症が多いとされる「てんかん」。
意識を失うような発作を引き起こすこともあるため、患者本人だけでなく家族の方も日常的に症状を観察する必要がある病気です。
そんな中、てんかん発作を記録して治療に役立てるためのアプリが、大阪市のてんかん患者家族団体により開発、発表されました。
てんかんとは
てんかんとは、体内の細胞同士の規則正しい電気信号が突然壊れ、激しい電気的乱れを生じることで、けいれんや意識の消失といった症状を繰り返し引き起こしてしまう脳の慢性疾患です。
現在、日本国内では100人に1人が発症すると言われており、発症する年齢は3歳以下の子どもが最も多いと言われています。
小児てんかんは原因不明が多い
てんかんには原因や症状の重さによって様々な種類がありますが、小児てんかんの場合は原因不明である特発性てんかん最も多いとされています。
特発性てんかんであれば、抗てんかん薬による治療によって80~90%の発作が抑制され、精神発達の遅れもみられませんが、思春期や成人期に比べると発作の頻度が高いため、学校生活などに注意が必要です。
一方で、新生児期・乳幼児期に脳の損傷や先天性代謝異常を原因とした症候性てんかんの場合は、治療薬の効果が得られにくく、発達障害を伴うため、難治性てんかんと呼ばれています。
発作の観察が重要
一口にてんかんと言っても、原因や症状の出方がタイプによって異なるため、どのような発作がどれくらいの頻度で起こるのかといった患者1人1人の状態に合わせて、治療方針や服用する薬を変える必要があります。
特に、自分では症状をうまく説明できない子どものてんかんの場合は、発作の状況を親が正確に観察・記録をして、主治医に報告することが重要になりますが、実際には1日になんども発作を起こすこともあり、なかなか難しいというのが現状です。
そこで、今回開発されたアプリでは、起動すれば自動的に発作を記録し、同時に動画も記録してくれるため、より正確に発作を記録して診療に活用することができます。
てんかんの子どもを持つ家族は、発作につきっきりになることで孤立化することが多いと言われていますが、アプリを使用することで負担が軽減されると共に、病気に対する周囲の理解が進むことが望まれます。
参考URL
『朝日新聞デジタル』https://digital.asahi.com/articles/ASN3M0CZMN3KPLBJ00H.html?pn=9
『てんかんinfo』https://www.tenkan.info/about/child/diagnosis/diagnosis01.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子