増える子どもの近視と内斜視~屋外活動やスマホとの関連について~
新型コロナウイルスへの感染を予防するため、外出を自粛し自宅で過ごす時間が増えたという人も多いですが、子ども達も屋外で活動する機会が以前よりも少なくなっているのではないでしょうか?
そんな中、慶応義塾大学の研究により、小学校高学年における屋外活動時間が、中学生時の近視に影響を与えるという結果が明らかになりました。
遺伝と環境の両方が原因に
そもそも近視とは、眼の屈折に関する異常の1つであり、遠くのものを見ると時に正常な位置でピントが合わない症状のことを指します。
遠くの物が見えづらい、いわゆる「眼が悪い」状態です。
近視を発症する原因としては、両親が近視などと言った遺伝的要因と勉強やゲームなどの環境要因があると言われています。
最近では、特にスマホの長時間使用が近視を進行させる可能性が高いとして、子ども達にどの程度スマホを使わせるべきか問題視されています。
近視抑制には低年齢時の屋外活動が重要
従来、近視の進行を抑制させるためには、幼い頃に屋外活動をどれだけ行うかが重要であると言われていました。
しかし、最近ではスマホの普及や小学・中学受験をする子どもが増えたことで、低年齢時に十分な屋外活動時間を確保できていない子どもが増えています。
そこで、今回慶応義塾大学が行った研究では、中学受験を経験している都内の私立中学校に通う607人の子どもにフォーカスを当て、眼の状態と現在及び過去における屋外活動時間を調査しました。
その結果、強度の近視の子ども達は、小学校高学年時に十分な屋外活動時間を確保していなかったことが明らかになり、外で遊ぶことの重要性が示唆されました。
スマホの使用は内斜視にも影響する
近視以外にも、スマホやタブレットの長時間使用によって内斜視を発症する子ども達も増えています。
内斜視とは、物を見る時に片方の眼が内側に寄っている状態で、そのまま放置すると立体感覚が育たなくなったり、成人してから運転免許が取得しづらくなったりすることがある病気です。
内斜視を予防するためには、スマホの利用時間を制限する(小学生以下/1時間以下、中学生以上/1日2時間以内)などの対策がありますが、近視の発症抑制と合わせて屋外で活動する時間を増やしてあげることも大切だと言えるでしょう。
参考URL
『メディカルトリビューン』https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0608530447/
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/1563
『参天製薬』https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/myopia/index2.jsp
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子