その香りが子ども達を苦しめているかも!?~「香害」について~
夏になると汗をかくことが増えるため、周囲へのエチケットとして香りのついた制汗スプレーや汗拭きシート、洗濯洗剤などを使う人も多いはず。
特に、最近では感染症対策用の除菌スプレーにも香りが付いたものが販売されており、世の中は数えきれないほどの香りであふれています。
しかし、実はそうした香りが原因で日常生活に支障をきたしている人がいるというのをご存知でしょうか?
今回は、子ども達も影響を受けている「香害」についてご紹介します。
「香害」は新しい公害の1つ
香害とは、柔軟剤や洗剤などの人工的な香りに含まれる化学成分が原因で、めまいや吐き気、思考力低下などを引き起こす、化学物質過敏症です。
もともとは、良い香りによってリラックスをさせたり、汗のにおいや体臭などをカバーする目的で柔軟剤などに香りが付加されていましたが、最近では過剰な香料により健康被害を訴える人が出てきてしまっています。
特に、学校や職場など人が集まる場所における被害が多く聞かれており、香害が原因で休校・休学を余儀なくされた子ども達がいるというのも事実です。
給食着の香りも原因に
日本消費者連盟が9000人を対象に香害に関するアンケートを実施した結果、約2割の人が香害によって欠席や休学、退職や休職を経験したと回答。
「教室に入ると頭痛がして目がチカチカする。授業に集中できないし、吐き気で給食も食べられない」といった具体的なエピソードからも分かるように、香害は立派な公害の1つであり、子どもにとって大切な居場所である学校を奪ってしまう可能性があるのです。
また、学校現場では給食着についた洗剤や柔軟剤の強い香りのせいで気分が悪くなり、食べられなくなってしまうケースが多いと言われています。
香害について理解することが大切
香害の被害者にとって最も辛いことは、周囲の人が香害について理解してくれないということです。
たかが「香り」と軽く見られてしまったり、原因不明の体調不良と片付けられてしまったりと、問題が解決されないまま不登校になってしまうケースも。
だからこそ、誰にでも起こり得る香害について正しく理解し、柔軟剤などの使用量が適正かどうか、誰かを不快にしていないかといった視点を持つことが大切だと言えるでしょう。
参考URL
『ヨミドクター』https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20200706-OYTET50010/2/
『大阪市』https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000500204.html
『東京生活者ネットワーク』https://www.seikatsusha.me/blog/2020/02/06/14671/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子