ゲーム依存症への新たな治療
2019年5月、WHO(世界保健機関)により”ゲーム依存症はゲーム障害という新たな疾患である”ということが認められました。
しかしながら、治療法については未だ確立されておらず、コロナの影響もあってゲーム依存に陥る人の数は増加傾向にあります。
そこで今回は、ゲーム依存症の治療プログラムを例に挙げながら、子どもも陥りやすいゲーム依存症の問題点と対策についてご紹介します。
ゲーム障害の症状とは
ゲーム障害の症状とは ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる状態のことゲーム障害と言い、具体的には以下のような条件に当てはまる場合はゲーム障害と認定される可能性があります。
- <条件>
- ・ゲームをする時間や頻度を自分では制御できない
- ・何よりもゲームを最優先してしまう
- ・問題が起きても続けてしまう
- といった状態が12ヵ月以上続き、社会生活に重大な支障が出ている場合
未成年にも多く見られますが、病気と認識されずに未治療のまま過ごしてしまうケースがほとんど。治療を受ける子どもは一部とされています。
薬物依存治療の手法を取り入れた新たな取り組み
日本国内においても現状ゲーム障害の治療法は確立されていませんが、大阪精神医療センターでは薬物依存治療の手法を取り入れた集団治療プログラムを新たに導入しています。
具体的には、
- ①生活習慣の改善
- ②体操や工作など新たな楽しみを探す
- ③患者同士でゲームのやり過ぎによる失敗談を共有する
といった内容のプログラムを通し、患者の依存度を軽減させようというものです。
実際に、不登校や暴力、昼夜逆転といった症状に該当する中学生約10人にこのプログラムを実施したところ、完遂した4人は依存度合が軽減し、その内3人は睡眠時間が2時間程度増えたということが分かりました。
まずは家庭内でのルール作りを
ゲーム依存症に対する治療法は検証が進めてられているものの、有効性が実証できていないため、治療法はまだ確立できていません。
しかし、コロナによる自粛生活が続く中、ゲーム依存の子どもが増えていることは事実です。
できるだけゲーム依存の状態に陥ることがないよう、日常的に子どもとコミュニケーションを取り、1日のゲーム時間をルール化するなど家族内で注意するようにしましょう。
それでも、お子さんのゲームへの依存度が異常だと感じた場合は、カウンセラーや専門の団体に相談してみましょう。
参考URL
『ヨミドクター』https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20210124-OYT1T50055/
『読売新聞』https://www.yomiuri.co.jp/national/20210125-OYT1T50111/
スクスクニュースの過去記事も合わせてご覧ください。
「ゲーム依存」は病気!付き合い方を考えて
https://www.suku-noppo.jp/headline/20191128- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子