RSウイルスの重症化に注意を~傾向と対策~
2歳になるまでにほとんどの子どもが感染すると言われているRSウイルス。
ありふれた感染症ではありますが、重症化すると命に関わる可能性もあるため、注意が必要な病気です。
そこで今回は、RSウイルスが重症化しやすい子どもの特徴と対策についてご紹介します。
RSウイルスはコロナと症状が似ている
RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスが体内に伝播することで発症する呼吸器感染症です。
感染力が非常に強いウイルスで、生後間もない赤ちゃんから大人まで感染する可能性があります。
近年は8~9月頃にかけて患者数が急増する傾向がありましたが、新型コロナの感染拡大以降は年間を通して感染率が低下。
しかし、RSウイルスの発熱や咳、呼吸苦といった症状はコロナウイルスの典型的な症状とも似通っているため、両者を判別するためにもRSウイルス感染症という病気を知っておくことが重要です。
早産児や重症化リスクのある子どもは要注意
健康な子どもがRSウイルスに感染した場合は、軽い風邪のような症状で済むことが多いですが、早産児や重症化リスクのある子どもが感染すると、「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった喘鳴を伴った呼吸器症状が強くあらわれることがあります。
そうなると、気管支から枝分かれた細気管支と呼ばれる部分が炎症を起こし、細気管支炎を発症して呼吸困難に陥ることもあるため、風邪の一種と軽視するのではなく適切な対応が必要です。
RSウイルスには特効薬やワクチンは存在しませんが、重症化を防ぐ予防薬は開発されているため、接種対象者であれば予防投与を受けることができます。
リスクと対策を理解しよう
現在、保険適用で予防薬を接種できる対象者は以下の通りと定められています。
- ・在胎期間(出産時の妊娠週数)が28週以下で、12か月齢以下の乳幼児
- ・在胎期間が29週〜35週で、6か月齢以下の乳児
- ・過去6か月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けたことがある、24か月齢以下の乳幼児
- ・24か月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の乳幼児
- ・24か月齢以下の免疫不全を伴う乳幼児
- ・24か月齢以下のダウン症候群の乳幼児
月齢や先天性の疾患の有無など細かい条件が設定されていますが、逆に言えば当てはまる場合、特にRSウイルスへの注意が必要ということになります。
RSウイルスは新型コロナウイルスと同様、飛沫感染と接触感染が主な感染経路になるため、手洗いうがいと咳エチケットにより感染予防をすることが可能です。
呼吸器症状もコロナと似通っているため、発症した場合は不安になることもありますが、重症化させないためにも、リスクや対応策を正しく理解しておくことが大切と言えるでしょう。
参考URL
『時事メディカル』https://medical.jiji.com/topics/1955
『感染症予防接種ナビ』https://kansensho.jp/pc/article.html?id=IE00000563
スクスクニュースの過去記事も合わせてご覧ください。
乳幼児は注意を!RSウイルス
https://www.suku-noppo.jp/headline/20190801- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子