日本脳炎のワクチンが足りない!?~子どもへの影響と対策とは~
子どもが生まれると接種しなくてはいけないワクチンの多さに驚く親御さんも多いですよね。
接種スケジュールを管理するのは大変ですが、ワクチンは子どもを重篤な病気から守るために必要なので、絶対に受けさせておきたいもの。
そんな中、日本脳炎のワクチンが一時的に供給不足になっているということをご存知でしょうか?
そこで今回は、日本脳炎の基礎知識と共に、ワクチン接種が遅れることの影響などについてご紹介します。
日本脳炎とは
生まれてから幼児期までに子どもが接種するワクチンの数は実に10種類以上。
自治体補助で受けられる定期接種に加え、自費で接種する任意接種を入れると、更に数は多くなります。
日本脳炎はその中の定期接種ワクチンの1つです。
「日本」という名前が付いているので日本特有の病気というイメージがありますが、極東から東南アジア・南アジアにかけて見られる病気で、日本脳炎ウイルスというウイルスによって発症します。
ウイルスに感染した豚の血を吸った、コガタアカイエカという蚊を媒体にして人間に感染することが分かっており、感染した人の100人~1000人に1人の割合に症状が出現します。
主な症状は高熱や嘔吐、けいれんや意識障害を伴った急性脳炎で、特に乳幼児や高齢者に感染した場合は死亡リスクが高いので注意が必要な感染症です。
ワクチンは4回接種が基本
ワクチンの開発により、最近では日本脳炎に感染する人は毎年10人前後にとどまっており、重篤な例はほとんど見られません。
しかし、日本脳炎ウイルスを持った蚊は毎夏発生しているので、ワクチン接種は必要不可欠と言えます。
日本脳炎ワクチンは複数回接種が必要なワクチンで、1~2回目を3歳時に、2回目から1年後3回目、最後9~12歳時に4回目を接種するスケジュールが一般的です。
基本的に3回打てば基礎免疫を獲得できますが、時間が経つと少しずつ効果が弱まるため、4回接種が推奨されています。
2021年度前半は供給不足の見通し
4回も必要なワクチンの接種が遅れるとなると不安になる親御さんも多いはず。
実際、厚生労働省の報告によれば、日本脳炎ワクチンを製造している2社のうち、1社のワクチンの製造が一時停止(現在は製造再開)した影響を受けて、2021年度前半はワクチンの供給量が大幅に減少する見込みである事が分かりました。
2021年度後半には供給が安定する予定ですが、医療機関や地域によって接種時期にバラつきがでてしまう事態は避けられないでしょう。
また、日本脳炎ワクチンは第Ⅰ期である1、2回目の接種が最も重要とされているので、今回の供給不足下においては第Ⅰ期対象者が優先されます。
もちろん、Ⅱ期以降の接種も早くしてあげたいですが、供給不足が続く内は、感染源である蚊に刺されない対策をするなどして、この時期を乗り切りましょう。
参考URL
『ヨミドクター』https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20210224-OYTET50000/2/
『ワクチン.net』https://www.wakuchin.net/vaccine/jp-encephalitis.html
『国立感染症研究所』https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/449-je-intro.html
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子