無理なダイエットは危険~初潮が遅れる原因と影響~
「痩せている方が綺麗」という傾向は10代の女の子達の中でも根強く、成長期であるにも関わらずダイエットをしている子どもは多いです。
しかし、こうした無理なダイエットが初潮の遅れの深刻な原因になっています。
そこで今回は、初潮が遅れる原因とその影響についてご紹介します。
18歳がボーダーライン
日本の平均初潮年齢は年々低下傾向にあり、現在は約12歳。
世界的にみれば低年齢にあたり、ほとんどの女の子は15歳までに初潮を迎えます。
一方で、15歳を過ぎても初潮がなく、医療機関を受診することになるケースも。
性成熟過程には個人差があるため、医学的には18歳までに初潮を迎えて、その後も順調に生理がくるようであれば問題はないとされていますが、18歳を過ぎても生理が来ない場合は「原発性無月経」と診断され、治療の対象となります。
先天的な病気が潜んでいる可能性も
原発性無月経の原因として最も多いのは、先天的な染色体の違いで低身長になったり卵巣が働きにくくなったりしてしまう「ターナー症候群」という女性特有の病気です。
他にも、生まれつき腟や子宮の一部もしくは全部が欠損している「ロキタンスキー症候群」や、脳から卵巣や精巣を刺激するホルモンがうまく分泌されない「ゴナドトロピン欠損症」などがあり、それぞれ専門医による治療が必要になります。
「やせ」も初潮の遅れに大きく影響
先天的な病気以外に初潮の遅れに大きく影響しているのが、栄養不足などによる「やせ」です。
実際、2018年に行われた調査によれば、小児科や産婦人科に生理が来ないという理由で受診した女の子の内、約8%は摂食障害などの栄養不足が原因でした。
本来であれば思春期になると、妊娠の準備をするために卵巣から女性ホルモンが分泌されるため、必然的に体に脂肪がつきやすくなります。
しかし、「やせ」を美とする傾向が強い日本では、10代の子ども達も過度なダイエットをしてしまい、結果として女性ホルモンの分泌がうまく行かずに初潮も遅れてしまっていると考えられます。
女性ホルモンの不足は、生理など子どもを妊娠するために必要な発達だけでなく、骨の形成などにも影響を与えるため、将来的に骨粗しょう症などの病気になってしまうリスクも。
「いつか来るだろう」と思わずに、周囲の大人たちも積極的に子どもの栄養状態や性成熟に目を向けてあげる必要があると言えるでしょう。
参考URL
『朝日新聞デジタル』https://digital.asahi.com/articles/ASP345GJHP32ULBJ00S.html?pn=8
『科研費』https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-22330189/22330189seika.pdf
『Beyond Health』https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00003/061500126/
- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子