口がぽかんと開いている~幼少期の治療が大切な口唇閉鎖不全症とは~
子どもがテレビなど熱中している時、「口が開きっぱなし」と思ったことはありませんか?
日常生活に支障をきたすわけではないので軽視されがちですが、いつもお口がぽかんと開いている状態は口唇閉鎖不全症と呼ばれ、口腔機能発達不全症の症状の1つでもあります。
そこで今回は、放っておくと子どもの発育や将来に影響を与えることがある口唇閉鎖不全症の原因や治療法についてご紹介します。
原因はさまざま
口唇閉鎖不全症は、アレルギー性鼻炎などにより鼻の具合が悪かったり、唇の筋肉が弱かったりなど複数の原因が絡んで起こると言われています。
従来は年齢が上がるにつれて有病率が低下すると考えられてきましたが、大垣女子短大などが実施した全国アンケート結果によれば、3~12歳の3399人の内30.7%が口唇閉鎖不全症であることが明らかになりました。
また、有病率は年齢が上がるにつれて高くなり、12歳では4割弱を占めるという従来とは異なる結果に。
つまり、子どもの3人に1人は口唇閉鎖不全症であるということになるため、決して他人事ではない病気ということが分かります。
虫歯や生活習慣病のリスク増加にも繋がる
口唇閉鎖不全症になると常時口が開いているため、口呼吸をしていることが多くなります。
その結果、口内と喉が乾燥して扁桃腺肥大を引き起こしたり、風邪菌やウイルスが直接肺に侵入して病気に感染しやすくなってしまったりと、弊害が大きい病気です。
また、口呼吸によって口内が乾燥すると、抗菌作用のある唾液が足りない状態になり、虫歯や歯周病にもなりやすくなってしまいます。
他にも、口を開いたまま寝ることで気道が狭くなり、いびきをかいたり睡眠時無呼吸症候群を引き起こしたりすることも。
睡眠時無呼吸症候群は糖尿病などの生活習慣病とも関連すると考えられているため、子どもの健康のためには早めに治療しておくことが大切です。
個々に応じた治療を早期に始めて
子どもの口唇閉鎖不全症は自然治癒が難しいとされているため、できるだけ早期に親が気付いて受診をし、その子に合った治療を進めていくことが大切です。
2020年4月には、口唇閉鎖不全症かどうかをチェックするための「口唇閉鎖力検査」が保険適応になっています。
したがって、口唇閉鎖不全症の検査と治療に対応してくれる歯科医も増えてきており、診断がつけば専用の器具などを使用しながら訓練していくことが可能です。
最近はマスクで過ごすことも多いので見逃しがちですが、今一度お子さんのお口の様子をチェックしてみてはいかがでしょうか?
参考URL
『横浜・中川駅前歯科クリニック』http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-46-1.html
スクスクニュースの過去記事も合わせてご覧ください。
発育不良の原因に?口腔機能発達不全症をチェックしよう
https://www.suku-noppo.jp/headline/20210119- MR(医薬情報担当者):編集部スタッフ:古谷祥子